• ●不当解雇とは何ですか?

    労働契約法第16条は、「使用者は、客観的合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、労働者を解雇することができない。」と定められており,むしろ法律上解雇は不自由とも言うものです。労働契約法第16条によって、不当解雇は無効になります。

  • ●不当解雇の場合に求めることができるものに何がありますか?

    ① 復職を求める権利がある。
    解雇が無効になる以上、会社で働く権利を有することから,会社に対して復職を求める権利がある,ということになります。
    ② 賃金を請求する。
    さらに、不当解雇は,労働者が働く意欲があるにもかかわらず,違法に会社が働かせない状態であるので,労働者は、会社に対して、不当解雇以後の賃金を請求することができます
    ③ 損害賠償請求をする。
    その他,違法な解雇によって精神的苦痛を被ったとして慰謝料請求をする余地もあります。

  • ●解雇の種類にはどのようなものがありますか?

    ①普通解雇,②整理解雇,③懲戒解雇というものがあります。

  • ●普通解雇とはどのような場合を指すのでしょうか?

    ① 傷病・健康状態の悪化による労働能力が低下した場合
    ② 能力不足・成績不良・適格性の欠如がある場合
    ③ 職務懈怠・勤怠不良がある場合
    ④ 職場規律違反・不正行為・業務命令違反がある場合
    となります。
    ただし,①~④について表面上該当すれば,直ちに解雇が許されるというものではありません。①については,傷病などの程度が非常に重く、労働を行うことが到底できない程度に至っていることが必要ですし,②はその字の通りのものですが,会社から相当の指導・注意などによって改善を促されている等の前提が必要ですし,無断欠勤、遅刻・早退過多、勤務態度や状況の不良、協調性が欠けることなどの③についても同様です。④については,上司,同僚への暴行・強迫、社内での業務妨害などが入りますが,少なからず,懲戒解雇の理由とも重なるものとも言え,また,日常的に業務指示・命令に従わない,配転や出向の命令に背くなどの業務命令違反などもこの類型に入るものと言えるでしょう。

  • ●整理解雇とはどのような場合を指し,どのような場合に許されるのでしょうか。

    いわゆるリストラと言われるものです。
    普通解雇とは違って、整理解雇の場合は、労働者には非がなく解雇されるものですが,その要件は厳しいものとなります。
    ①  人員削減の必要性の有無
    ②  解雇回避努力義務の履行の有無
    ③  被解雇者選定についての妥当性の無
    ④  労働者等への十分な説明,協議の有無
    などにおいてこれらが存在することが要件となります。
    ①については,要するに余剰人員の有無ということになりますが,一般論として,人員削減なくば倒産する」、というところまでの切迫性までは要するものとはされていません。②は,解雇回避の努力ということになりますが,具体的には,新規採用の停止、役員報酬カット、希望退職者募集などの措置をとる必要があります。③については,当然,恣意的に選ぶことは許されず,具体的には,勤務成績,また,解雇による打撃が少ない人物を選ぶ、等合理的な基準が必要です。④については,上記①から③の事情、整理方針や手続・規模や解雇条件等を十分に説明をしたことが要件になります。

  • ●懲戒解雇とはどのような場合を指すのでしょうか,また,注意点にはどのようなものがありますか。

    懲戒解雇は,制裁罰としての解雇で,契約不履行を理由として行われる普通解雇とはその性質を異にするものです。
    会社内の刑罰によってされるもので,退職金の全部又は一部が払われない、と就業規則に定められているなど,労働者の不利益は甚大な処分です。
    懲戒として,重すぎる懲戒処分がされた場合などには,処分権の濫用として無効となります(労働契約法15条)。
    懲戒解雇の有効性であるためには,
    ①  懲戒処分の種類と事由の就業規則への記載の有無
    ②  就業規則上の懲戒事由に該当性の有無
    ③  比例原則の適合性の有無
    ④  対象者の十分な弁解の聴取の有無
    について,これらが存在することが要件となります。
    以下,①については,当該懲戒処分について就業規則に記載されていることが必要ということです。②については,当該懲戒処分に「客観的に合理的な理由」があるということです。③については,理由とされた「当該行為の性質・態様その他の事情に照らして社会通念上相当なものと認められない」場合には許されないということです。④は就業規則などで懲戒処分の前に懲戒委員会を開くことを要するとされていれば,その開催が必要であり,そのような記載がない場合であっても,弁解聴取のプロセスを要するものとされます。

  • ●解雇予告とはどのようなものですか?

    解雇には,原則、①解雇予告期間または②解雇予告手当が必要となります。
    ①については,解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に解雇予告をしなければならないというものです(労働基準法20条1項)。②については,予告が30日前に満たない場合は、「不足した日数分の平均賃金」を会社が支払う義務があるというものです(解雇予告手当、労働基準法20条2項)。
    但し,以下の場合には,①②無くとも労働基準監督署長の認定があれば、即時に解雇することができます(労働基準法20条1項但書、同条3項)。
    ア 地震などの天変事変や、その他やむを得ない理由により、事業を続けることができなくなった場合
    イ 労働者に帰責性があるために解雇する場合
    即時解雇されてもやむを得ないといえるほどに、重大な帰責性が労働者にある場合を指します。
    さらに,
    ウ 日雇い労働者(1ヶ月を超えて引き続き雇用される場合を除く)
    エ 2ヶ月以内の雇用期間を定められている季節労働者以外の労働者(2ヶ月を超えて引き続き雇用される場合を除く)
    オ 季節労働者であって、4ヶ月以内の雇用期間を定められている労働者(4ヶ月を超えて引き続き雇用される場合を除く)
    カ 試用期間中の労働者(14日を超えて引き続き雇用される場合を除く)
    以上のウからカの場合にも即時解雇が可能です(労働基準法21条)ですが,なお,これらの場合に解雇予告に関する規制が無いというだけであり,解雇理由における客観的合理籍が不要ということを意味するものではありません。

  • ●解雇予告期間や解雇予告手当に違反があった場合にはどのような取り扱いがされるのですか?

    実務的には確定されているものではないものの一般的には,「使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、解雇の通知後、30日が経過した時点、または解雇予告手当の支払をした時点のいずれかから解雇の効力が発生する」とされています(判例)。

  • ●その他,解雇には制限どのような制限がありますか?

    ① 業務上のケガや病気を理由とする解雇の制限
    ② 業務外の事由に基づくケガや病気を理由とする解雇の制限
    ③ 男女雇用機会均等法による解雇の制限
    ④ 育児・介護休業法による解雇の制限
    ⑤ 公益通報者保護法による解雇の禁止
    ⑥ 障害者雇用促進法による解雇の制限    など
          
    まず,①については,「労働者が、業務上のケガや病気の療養のために休業する期間」及び,「その後の30日間」は、原則として、解雇できません(労働基準法19条1項)。
    しかし,次の例外があります。ア 療養開始後3年を経過しても、ケガや病気が治らない場合、使用者が平均賃金の1200日分にあたる「打切補償」(労働基準法81条)を支払った場合(労働基準法19条1項但書前段)。なお、ケガや病気になってから3年を経過した時点において、傷病補償年金(1年6ヶ月たっても治らない業務上のケガや病気が、1年6ヶ月が経過の時点で、1~3級に該当し、その状態が続く場合に、支給される年金)を受給している場合は、打切補償が支払われたものとみなされます(労働者災害補償保険法19条)。
    ②については,療養の時間を十分に与えても、業務をこなせるまでに回復できない場合には、就業規則に基づき、解雇可能となります。③については,ア 労働者の性別,イ 女性労働者が結婚・妊娠・出産・産前産後の休業をしたこと,ウ 産前産後の休業の請求をしたことなどをもって解雇をしてはいけません。④については,育児・介護休業,子の看護休業など,を申し出たり、利用することを理由とする解雇はできません。⑤については,労働者が一定の公益通報をしたことを理由とする解雇を禁止するものです(公益通報者保護法3条)。⑥は,労働者が障害者であることを理由として解雇することなどはできません(障害者雇用促進法35条)。

  • ●不当解雇された場合のとりあえずの対処法を教えてください。

    ① 解雇理由証明書の請求
    ② 解雇予告手当の金額や日数の確認
    ③ 労働者の請求の内容  など

    まず,①を労働者が請求すると、事業主は遅滞なく解雇理由証明書を交付する義務があります(労働基準法第22条2項)。これには,解雇理由を具体的に記載しなければなりません。②についは,その文言の通りのものです。③については,復職を前提とする場合,会社に対して「解雇の無効及び未払い賃金の支払い」を主張することになると思われます。他方,復職は断念することを前提にする場合には,不当解雇がなければ本来得られたはずの利益である逸失利益として、再就職までに通常必要な期間分の賃金の請求,及び解雇が不法行為に当たるとして慰謝料の請求などが考えられます。