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●休業損害とは何ですか?
交通事故による受傷によって休業を余儀なくされたために,その間に得ることのできなかった損害のことをいいます。
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●休業損害は,どのように計算するのですか?
基礎収入(1日あたりの収入)に休業日数を乗じて計算します。
(休業損害=基礎収入×休業期間)
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●給与所得者の基礎収入はどのように算出しますか?
休業損害証明書(事故直前3か月間の給与額)や源泉徴収票(年収)により,1日あたりの収入を算出します。
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●基礎収入を算定するに税金を控除しなければなりませんか?
所得税・住民税などの税金を控除しないのが一般的です。
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●有給休暇を使った場合は休業損害として認められませんか?
有給休暇を使っても,休業損害として認められます。
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●事業所得者の基礎収入はどのように算出しますか?
確定申告書により,「収入」から「経費」を控除して算出しますが,「経費」の内,地代家賃や租税公課,従業員の給与,減価償却費等の固定費については相当な範囲で休業損害と認められます。
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●専業主婦に休業損害は認められますか?
専業主婦など家事従事者に収入はありませんが,家事労働を金銭的に評価されうるものであるから,休業損害は認められます。
この場合,基礎収入は賃金センサスの女子平均賃金により計算します。
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●失業者に休業損害は認められますか?
収入がない以上,原則として休業損害は認められませんが,就職が内定している場合など,近い将来に就労する蓋然性が高ければ休業損害が認められます。
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●学生・生徒に休業損害は認められますか?
原則認められませんが,アルバイトをしていた場合は認められる場合もあります。
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●年金受給者に休業損害は認められますか?
事故によって年金が減ったとはいえないので,原則認められません。ただし,年金以外の収入,例えば,年金と共にパートタイムで収入を得ていた場合は,パートタイムでの給与減収分,家族のために家事労働をしていた場合は,家事労働ができなかった分について認められる場合があります。
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●相手方から弁償はきちんとするので,警察には届け出ないでほしいと言われましたが,このままでいいでしょうか?
交通事故にあった場合,警察への届出義務が法律で決まっていますので,必ず届け出てください。
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●自転車事故でも警察に届け出なければならないですか?
自転車事故であっても届出義務はあります。
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●自転車事故で請求できるものは何がありますか?
自動車事故と同じです。
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●一旦は物損事故にしてもらったのですが,しばらくして体が痛くなってきました。どうすればいいでしょうか?
相手方保険会社へ連絡し人身として通院する旨を伝え,病院で診断書を作成してもらいましょう。作成した診断書を警察に提出し,扱いを人身事故に変更して下さい。
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●弁護士費用特約とは何ですか。
交通事故にあった際,相手方に損害賠償請求を行うときにかかる弁護士費用を保険会社に支払ってもらえる任意保険のオプションで加入できる特約です。これは交通事故の被害者である場合でしか使うことができません。
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●弁護費用特約は,契約者本人しか使えませんか?
弁護士費用特約は,契約者本人のみならず,その家族の交通事故にも使えます。また,同乗者(例えば友人)の損害賠償でも使うことができます。
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●弁護士特約は自動車事故でしか使えませんか?
歩行中の交通事故でも使うことができます。
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●弁護士特約を使えば保険会社にすべての弁護士費用を負担してもらえるのですか?
着手金,報酬金,実費,出張日当など,ほぼすべての弁護士費用が負担されます。ただし,多くの場合支払の上限額が300万円までと決まっており,まれに,上限額に達して自費で負担することもあります。
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●好意同乗とは何ですか?
好意同乗とは,好意により無償で人を車に乗せることです。
事故が起きたとき,好意同乗で乗せてもらった人は,運転者に損害賠償請求が可能です。 -
●人身事故事件の流れを教えてください。
概ね,事故発生→治療→治癒or症状固定→(後遺障害申請)→交渉→裁判→控訴審となります。(死亡事故を除く)
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●非接触事故とは何ですか?
その名の通り,接触せず発生した事故で,例えば,衝突を避けようとしてガードレールに突っ込んでしまったなどの場合がこれに当たります。
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●一緒にお酒を飲んだ友人が飲酒運転により交通事故を起こした場合,私に責任はありますか?
運転をして帰宅することを知りながらお酒を一緒に飲んだ場合,飲酒運転の共同不法行為者または幇助者として,交通事故の損害賠償を請求される場合があります。
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●人身事故で加害者が刑事罰を免除されるのはどんな場合ですか?
加害者の過失が比較的軽い,被害者の怪我が軽い,示談済であるなどの場合です。
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●交通事故による通院で健康保険は使っていいですか?
原則使って構いませんが,労災に当たる場合等使えない場合もあります。
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●人身で1年以上治療しているのですが,時効になったりしないでしょうか?
人身事故の時効は事故発生から5年(加害者が不明の場合は20年)です。
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●相手方の保険会社から治療費の打ち切りを伝えられてしまったら,どうすればいいでしょうか?
まず主治医に相談し,治療を続ける方がよいという判断をされるのであれば,後遺症の認定を適切に判断してもらうために,自費であっても,治療を続けた方が良い可能性があります。また,治療期間を記載された診断書を提出するなどして,治療費支払いの延長の交渉をすることもできます。
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●一見怪我がない場合でも病院に行った方がいいでしょうか?
時間が経ってから症状が出てくる場合や骨折が見つかる場合もあるので,病院で受診するようにした方が望ましいでしょう。
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●身体が痛く運転が難しいので,タクシーで通院しています。タクシー代は請求できますか?
基本的には,公共交通機関の料金か自動車のガソリン代の限度で支払われることが多いです。ただし,タクシーを利用しなければならない事情がある場合(足の骨折等)は,認められることもあります。
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●示談書にサインして提出しまったのですが,本当はもっと賠償金を受け取れるのではないかと思えてきました。やり直しできませんか?
基本的に,一度作成済の示談書を提出してしまうとその書面記載の賠償金以外の請求は一切できません。
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●弁護士に依頼して保険会社提示の示談金額から金額が減ってしまうことはありますか?
可能性は低いですが,全くないとは言い切れません。増額見込みについて一度弁護士に相談し,対応されることがおすすめです。
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●警察の実況見分で特に注意すべきポイントはありますか?
実況見分で作成される調書(実況見分調書)等は賠償額を左右しますので,実況見分には可能な限り立ち会うようにし,また,できるだけ正確に,主張が変遷しないよう注意してください。
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●事故のせいで旅行に行けなくなりました。旅行にかかわるキャンセル料を請求できますか?
事情によりますが,怪我で旅行に行けなくなった場合には,キャンセル料等の請求が認められる場合もあります。