離婚に関する分野

不貞慰謝料

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「1」 不貞とは何ですか?不貞行為となるのは,性行為・肉体関係のみですか?

判例によると,「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為」とされています。
また,性行為・肉体関係に限られないと考えられます。裁判例でも,「慰謝料の対象となる不貞行為とは,性交渉の有無のみにより決せられるべきでない」「夫婦の婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある異性との交流や接触も含む」として肉体関係を認めなかったにもかかわらず,不貞行為を認定した事例があります。具体的には,事情によりますが,愛情を告げたメールの送信,手を繋いで歩いていた行為,単なる面会行為で不貞行為が認定された事案があります。

「2」 配偶者のある男性の子を妊娠しました。その男性に認知を求めたいのですが,認知を請求することが不貞行為となりますか。

子を妊娠して認知を請求することは不貞行為といえませんが,妊娠の前提となる性的行為が不貞行為になると考えられます。

「3」 同性同士の性的行為も不法行為が成立しますか?

成立すると考えられます。
同性同士の性的行為であっても,婚姻関係における平穏を害し,婚姻関係を破たんさせる原因となる行為をすることは可能だからです。

「4」 夫婦関係が既に破綻しています。この場合にも,妻以外の女性と肉体関係を持ったら不法行為が成立しますか?

夫と妻以外の女性が肉体関係を持った場合,その当時,夫婦の婚姻関係が既に破綻していたときは,特段の事情のない限り,その女性は妻に対して不法行為と負わないとされています。破綻していたときには,原則として,婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益がないからです。

「5」 長年夫婦間の性交渉がありません。この事実は破綻を基礎づける事実となりますか?

性交渉がなかったことをもって,婚姻関係が破綻していたと認めることはできないと考えられます。しかし,逆に,性交渉があったという事実は破綻をしていないことを基礎づける事実になりうると考えられます。

「6」 具体的には,どのような事実があれば,破綻と言えますか?

確定的・統一的な基準はないと言わざるをえません。できる限り多くの事実・事情から,婚姻関係が修復可能か否か判断することになります。

「7」 夫の浮気により夫婦関係が破綻し,離婚を考えています。この場合に,夫とその不倫相手の女性に対して慰謝料を請求することはできますか?

できます。
夫と不倫相手の女性双方に請求すること,一方のみに請求することもできます。ただし,慰謝料を請求する相手によってその慰謝料の内容がかわるので注意が必要です。

①夫に対する請求
夫に対しては,不倫という婚姻期間中の個別の不法行為によって精神的苦痛が生じたとする慰謝料を請求できます。この慰謝料請求については,夫と不倫相手による共同不法行為として,夫とともに不倫相手に対して請求ができます。
また,不倫等を理由に夫婦が離婚に至った場合には,妻は,夫に対して,離婚をすること自体によって精神的苦痛を受けたことによる慰謝料請求が出来ます。
夫に対して,これらの慰謝料をそれぞれ請求することが可能です。

②不倫相手の女性に対する請求
不倫相手の女性に対しては,①で説明したように不倫行為という不法行為そのものに対する慰謝料請求をすることは当然にできます。
他方,夫婦ではない第三者に対する離婚そのものについての慰謝料を請求については,近時,最高裁の判例が新しく出ており,以下で説明するように,特段の事情が無い限り,不貞相手には原則請求できない,と判断されています。

「8」 夫と不倫相手の女性が共同不法行為責任を負う場合,どちらの責任が重いですか?

妻との関係では,夫と不倫相手の女性の責任の程度に差を付ける裁判例もあれば,不貞行為への関与の程度を考慮して差を付ける裁判例もあり,一概には言えません。

「9」 夫の不貞が原因で調停離婚しました。調停条項で「条項に定めるほか名目の如何を問わず互いに金銭その他一切の請求をしない」との清算条項を入れていますが,不倫相手の女性に対して慰謝料を請求することができますか?

夫と不倫相手の女性に対しては不倫行為に対する慰謝料を請求することができます。
夫と不倫相手が負担する損害賠償債務は,不真正連帯債務であって,連帯債務者の一人に対する免除の効果が他の連帯債務者にも効力が及ぶと規定した民法437条が適用されないからです。

「10」 離婚そのものによる慰謝料とはどのようなものですか?

離婚をすることそのものによって生じる精神的苦痛を償う慰謝料のことを言います。相手方である夫(又は妻)の「有責不法な行為によって離婚するのを止むなきに至ったことにつき,相手方に対して損害賠償請求をする」(最高裁判所昭和31年2月21日民集10巻2号124頁)ことができるとされています。
他方,不貞行為によって離婚に至ったとして,不貞相手等の夫婦以外の第三者に対して,離婚そのものに対する慰謝料請求が出来るかについて,最高裁判所平成31年2月19日第三小法廷判決は,原則請求できない,との判断をしました。判旨を以下に引用しますが,要約すれば,離婚するか否かは本来夫婦の意思で決められるものであるから,不貞相手等の第三者においても直ちに離婚そのものに対する責任は負わないが,その第三者が夫婦を離婚させるような意図を持って行動し,その結果,離婚に至ったという特段の事情があれば慰謝料を請求できるということです。
そのため,不貞が原因で離婚をしたとしても,その不貞相手に直ちに離婚そのものに対する慰謝料請求はできません。

【最高裁判所平成31年2月19日第三小法廷判決】
「夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが,協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても,離婚による婚姻の解消は,本来,当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
したがって,夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。」
と判断しています。

「11」 離婚に伴う慰謝料の額はどのように算定されますか?また,慰謝料額の相場はありますか?

実務では,①行為の有責性,②婚姻期間,③相手方の資力等を要素として総合的に考慮されることが多いです。
①行為の有責性とは,婚姻破綻原因,破綻に至る経緯,婚姻生活の実情,破綻原因の態様,責任の割合等を考慮します。
②婚姻期間が長いと慰謝料額が高額に算定される傾向にあります。
③相手方の資力は,これにより有責性や精神的苦痛の大きさが影響するものではありませんが,当事者双方の年齢,職業,学歴,経歴,収入等を総合的に判断し,会社経営者等で収入や資力が多く生活水準が高い場合には,離婚慰謝料も高くなる傾向があります。
また,慰謝料額の相場については,上記のように様々な考慮要素を総合的に判断して算定するため,ケースバイケースとしか言えない側面もありますが,おおよそ200万円~300万円程度が多い傾向にあります。

「12」 離婚に伴う慰謝料請求に当たり,注意すべき点はありますか?

まずは,3年間の消滅時効によって請求権が時効消滅する前に請求を必要があります。離婚そのものについての慰謝料及び婚姻期間中の個別の不法行為に対する慰謝料ともに,不法行為に基づく損害賠償請求権を根拠にするものです。そのため,離婚そのものについての慰謝料請求権は離婚成立から3年以内,個別の不法行為に対する慰謝料請求権は,個々の不法行為から3年以内に請求をしなければ,請求できなくなってしまいます。
ただし,個別の不法行為に対する慰謝料請求権の消滅時効については,仮に,3年の時効期間が過ぎていても,離婚成立の日から6か月以内に調停の申立てや訴訟を提起すれば,時効が完成せず,請求ができることになっています(民法159条)。
次に,婚姻関係が破綻した後の不貞関係については,慰謝料の請求が出来ません。不貞行為が不法行為として損害賠償請求できるのは,不貞行為が婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為にあたるからです。既に婚姻関係が破綻しているのであれば,たとえ,不貞の関係をもったとしても,侵害されるべき権利や利益がないため,不法行為に該当せず慰謝料請求が認められません。
また,協議離婚をする場合に,その離婚協議書に両当事者に債権債務がないことを確認する清算条項を入れると,離婚後に慰謝料請求をすることが困難になります。しかし,協議の時点では,夫(又は妻)に愛人がいることを知らなかった等の事情があれば,その清算条項は無効になる可能性もあります。

「13」 離婚の慰謝料はどのようにして請求すればよいですか?

まずは,交渉によって相手に任意の支払を求めることが考えられます。
相手が任意の支払に応じない場合,選択できる請求方法は,離婚の成立の有無によって変わってきます。

①離婚成立前の場合
離婚と併せて慰謝料の支払いを求める調停を申し立てることが出来ます。離婚のみ調停が成立した場合,改めて慰謝料についての調停を申し立てることが出来ます。また,離婚についても調停が成立しなかった場合,その後の家庭裁判所に対する離婚訴訟と併せて慰謝料支払いを求める訴訟を提起することができます。
離婚が成立していない時点においても,不貞相手等の第三者に対して,地方裁判所(請求額によっては簡易裁判所)に対して,慰謝料の支払いを求める訴訟提起が出来ます。
また,離婚訴訟が提起されている場合,不貞相手等の第三者に対する慰謝料請求訴訟を離婚訴訟と併せて審理するように家庭裁判所に申立てをすることができます(人事訴訟法8条)。

②離婚成立後の場合
離婚成立後でも,離婚成立から3年以内であれば,慰謝料の支払いを求める調停を申立てることができます。調停での話し合いがまとまらなかった場合,審判には移行せず,地方裁判所(請求額によっては簡易裁判所)に対して,慰謝料の支払いを求める訴訟提起をすることになります。この場合にも,夫(又は妻)とともに不貞相手を一緒に訴えることも,どちらか一方のみを訴えることもできます。

「14」 妻がいる男性から,「妻とは終わっている」「妻とは離婚した」などの言葉を信じて関係を持ちました。不貞行為となり不法行為責任を負うことになりますか?

事案によりますが,男性の言葉を信じたことにより,男性が既婚者であることや,その男性の婚姻関係が破綻していないことの認識(故意)が無かったとしても,男性の言葉を信じたことに過失があるものとして不法行為責任を負うことが多いと考えられます。

「15」 不倫をした夫と別居をしていませんが,不倫相手の女性に慰謝料を請求することができますか?

別居をしていても破綻をしていないと認定され,逆に,別居をしていなくても破綻を認定される場合もあります。別居という事実のみでは破綻の有無を判断することができないということです。

「16」 調査会社を使用して不貞行為の事実を調査しました。この費用を不倫相手の女性に請求することができますか?

不貞行為を立証するために必要であれば請求することができると考えられます。但し,調査費用全額ではなく,通常必要とされる範囲に限られることが多いです。

「17」 夫の不倫によって精神的苦痛を受け,そのために病院へ診察に行き,勤務先も休むことになりました。この治療費や休業損害を不倫相手の女性に請求することができますか?

「治療費」「休業損害」が加害行為である「不貞行為」と因果関係のある損害と評価することができれば可能ですが,一般的には難しいと考えられます。

「18」 婚姻関係,内縁関係,婚約関係にある場合,慰謝料に差がありますか?

婚約関係では,婚姻共同生活が存在しないのだから,婚姻関係よりも要保護性が低く,慰謝料は減額されることが多いです。
婚姻関係と内縁関係では,内縁関係を要保護性が低いものとして慰謝料の減額事由とする裁判例もあれば,全く考慮していない裁判例もあり,一概には言えません。

「19」 婚姻期間が短いと慰謝料額の算定に影響するとのことですが,どのくらいの期間ですか?

裁判例では,婚姻期間が短いことを慰謝料の減額事由として考慮されることが多いです。具体的には,3年を経過していない場合に減額する傾向があるように見えます。

「20」 婚姻期間が長いと慰謝料額が高額に算定される傾向にあるとのことですが,不貞期間も長ければ慰謝料額が高額に算定されるのですか?

不貞期間が短ければ減額事由として,長ければ増額事由と考慮される傾向があります。

「21」 不倫相手の女性との間で,再び不貞をしたら慰謝料●●万円を支払うという合意をしました。これは有効ですか?

民法132条で,「不法な条件を付した法律行為は,無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも,同様とする。」と規定されており,不貞行為は不法なのだから,それをしないという条件を付した合意は無効となるのではないか,という疑問が生じますが,かかる合意も有効とされています。

「22」 父の不倫により両親が離婚しました。子である私も精神的苦痛を受けています。慰謝料を不倫相手に請求することができますか?

父が子に対して愛情を注ぎ,看護,養育をすることは,父の不倫と関係なく行うことができるので,不倫相手が害意をもって父親の子に対する監護等を積極的に阻止するなど特段の事情のない限り,不倫相手の行為は,未成年の子に対して不法行為を構成するものではないとするのが判例であり,難しいと考えます。

「23」 内縁の関係を不当に相手方から解消された場合に,慰謝料請求をすることはできますか?

内縁(婚姻の届出は無いが,当事者双方の間に社会通念上の婚姻意思があり,かつ,事実上の夫婦共同生活がある場合)と認められる場合には,婚姻の法的効果のうち,夫婦共同生活から生じる法的効果は認められると解されています。判例においても,内縁と認められる場合に,正当な理由なく内縁関係を解消した相手方に対して,内縁配偶者の地位を侵害したとして,損害賠償責任を認めたものがあります(最高裁判所昭和33年4月11日民集12巻5号789頁)。

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面会交流

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「1」 現在,妻と別居し離婚調停中です。妻との間には,5歳の息子がおり,妻と一緒に暮らしています。調停では,財産分与で揉めており,調停が長引く可能性がありますが,妻が,離婚が成立するまで息子には会わせないと言っています。私は,離婚が成立するまで,息子と会うことはできないのでしょうか?

原則会うことができます。
父母が離婚の前後を問わず,別居状態にある場合に,子と同居しておらず,子の監護をしていない親が,子と直接会うこと並びに手紙,電話,及びメール等を利用した通話などで連絡を取り会うことで親子の意思疎通を図ることが認められており,これを一般的に「面会交流」といいます。
両親が離婚したり別居中であっても,子にとっては親であることに変わりはありません。未成年子にとって面会交流をすることが,その人格形成,精神的発達に有益又は必要と考えられています。
ただし,別居親がかつて子にDVをしていた等,面会交流をすることが子のためにならないような場合には,面会交流が制限されることがあります。

「2」 元妻と離婚し,これまで月1回程度の頻度で小学生の娘と面会交流を行ってきました。
しかし,先日から急に元妻が,「これからしばらくの間,面会交流は中断してほしい。」と何の理由もなく一方的にメールが送られてきました。妻に連絡を取り,面会交流を再開してもらうように話し合いをしましたが,全く取り合ってもらえませんでした。
面会交流を再開するためにはどのようにすればよいのでしょうか?

自主的な面会交流が実現しない場合には,家庭裁判所へ面会交流に関する家事調停又は家事審判を申し立てることが考えられます。
離婚調停・離婚訴訟をしている場合には,離婚後の面会交流について一緒に定めることができます。
家事調停は,家庭裁判所において面会交流についての決まりごとを両親で話し合う場であるため,決まりごとについて両当事者の合意が無い限り成立しません。両者の合意が得られず,調停が成立しない場合には,自動的に家事審判に移行します。家事審判は,面会交流についての決まりごとについて,家庭裁判所が決定します。

「3」 別れた元妻が,面会交流に当たって,私の意見など取り入れてくれるとは思えず,調停をしても無駄なような気がします。面会交流の調停を経ずに,審判を申し立てることはできますか?

できます。
面会交流の調停と審判の間には,調停を先にしなければいけない(調停前置主義)という決まりはありませんので,調停を経ずにいきなり審判を申し立てることができます。
しかし,面会交流は,家族の問題ですので,可能な限り話し合いでの解決が望まれているのも事実です。そのため,実務では,いきなり審判を求めるのではなく,まずは,面会交流調停を申し立てることが一般的といえます。
また,面会交流のこのような趣旨から,いきなり面会交流の審判を申し立てた場合であっても,家庭裁判所はいつでも職権で審判で係属している事件について,一度調停で話し合いなさい,として調停に付すことができます。
面会交流を実現するためには,当事者双方が納得した面会交流についての決まりごとを決めることが重要ですので,まずは,面会交流を申し立てた方が良い場合が多いと思われます。

「4」 調停(又は審判)で面会交流の方法や回数について決まりましたが,元妻がその取り決めに応じず,子どもに会わせてくれません。このような場合,どうしたらいいのでしょうか?

面会交流の調停や審判の取り決めに相手が従わない場合の法的手段として,①履行勧告(りこうかんこく),②間接強制,③損害賠償請求の3つの手段が考えられます。しかし,これらの方法は,いずれも面会交流を実行させる決定打にはならないことはよく理解しておくべきです。なぜ相手が面会交流を実施しないのか,その原因を探ることも重要となります。

①履行勧告
履行勧告とは,調停や審判で決まった義務を守らない人に対し,それを守らせるために調停や審判をした裁判所から守るように働きかけてもらう方法です。
履行勧告の申出がなされると家庭裁判所の調査官等が,義務を守らない相手方に対し,電話や手紙等で事情を聴取し,面会交流が実現できるように調整をします。
ただし,履行勧告には,強制力や罰則がないため,裁判所からの働きかけをしても相手が応じなければ面会交流の実現は出来ません。

②間接強制
間接強制とは,調停(又は審判)で決まった面会交流を実行しない親に対し,違反1回に対して制裁金を支払えと裁判所に銘じてもらうことで,相手方に心理的圧迫を加え,間接的に面会交流の履行を実現するように促すものです。
ただし,間接強制が認められるためには,調停(又は審判)で決められた取り決めがかなり具体的なものでないと裁判所は認めない傾向にあります。そのため,相手方が単に取り決めを破った程度では容易に認められるものではありません。

③損害賠償請求
これは,相手方が,調停や審判で決められた面会交流を実施せず,その拒否に正当な理由が無い場合には,面会交流を拒否する行為が不法行為に該当するとして慰謝料の損害賠償請求をするものです。そのため,面会交流を現実に実施する手段とは言えません。
既に説明したことですが,面会交流は子どもの健全な成長・発達のためであり,また,父母の協力が必要不可欠です。そのため,面会交流の拒否をされた場合に,以上の3つの手段が考えられますが,②③をした場合,その後の父母の関係性を修復することは困難なことも多く,以後面会交流に全く協力しなくなることも考えられます。そのため,どうしても相手が応じない場合の最終手段と考えておいた方が良いでしょう。
また,まだ数は少ないですが,相手方が面会交流に全く応じないことを理由に,親権者の変更が認められた例もあります。

「5」 元夫と離婚し,約1か月に1回の頻度で面会交流を行っています。
しかし,元夫との面会交流後,子どもが体調を崩すことが多く,子どもと元夫をあまり会わせたくありません。どうしたらいいでしょうか?

家庭裁判所に面会交流を禁止する調停又は審判を申し立てることが考えられます。
調停や審判で面会交流を実施することが定められていても,面会交流の結果,子に悪影響が出て,面会交流を中止した方が,子の福祉になるといった場合には,再度,面会交流について,それを禁止する調停又は審判を申し立てることができます。
ただし,合理的な理由もなく,自身の考えだけで面会交流を拒否し続けると,相手方から慰謝料の請求をされる可能性もあります。

「6」 別れた元夫が約束した養育費を支払ってくれません。
元夫が養育費を支払うまで子どもに会わせないようにすることはできますか? 

原則できません。
面会交流と養育費請求権は,一方が認められる事を前提に他方が認められる,といった関係にはありません。たとえ,元夫が養育費を支払っていなくとも,それを理由に直ちに面会交流を拒否できるものではありません。仮に,これを認めてしまうと,子の福祉のための面会交流が,お金を引き出すための手段になりかねません。
ただし,養育費の不払いによって子どもの生活状況が脅かされるなどの事情がある場合には,子の福祉を害する一事情として考えられ,面会交流の実施に影響を与えることもあるでしょう。
また,以上の面会交流と養育費の関係から,面会交流を実施してくれないことが,養育費の支払を拒否する理由になるものでありません。

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年金分割

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「1」 離婚時年金分割制度とはどのような制度ですか?

離婚後,請求期限内に合意又は裁判手続きで按分割合を定めて年金事務所等に分割請求をすることで,婚姻期間中の年金保険料の納付記録の最大2分の1までを分割する制度です。

「2」 全種類の年金について年金分割ができるのですか?

年金分割ができるのは厚生年金(下図の青く塗られた2階部分)のみです。基礎年金(下図のオレンジ色に塗られた1階部分)や企業年金などの自主年金(下図の3階部分)は分割の対象ではありません。
そのため,年金分割は,1階部分の基礎年金の額や3階部分の厚生年金基金や確定給付企業年金の給付には影響がありません。

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(厚生労働省HP・「日本の公的年金は2階建て」
(https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/structure/structure03.html)より引用)

「3」 具体的には何が分割されるのでしょうか?

年金分割の対象になるのは,厚生年金の保険料納付記録です。年金額は,年金の受給権が発生するまでの期間の標準報酬額(標準報酬月額及び標準賞与額)を基礎として計算されます。分割の対象となる保険料納付記録とは,具体的には,これまでに支払ってきた厚生年金保険料の算定の基礎となった標準報酬額のことをいいます。
夫婦のうち,この標準報酬額の多い方の標準報酬額が最大2分の1まで分割され,標準報酬額が少ない又はない方が,分割された分を受け取ることになります。
年金分割の按分割合を2分の1と定めた場合には,婚姻期間における夫婦双方の標準報酬額は同額となります。

「4」 離婚時年金分割がされることで具体的に何が変わるのでしょうか?

離婚時年金分割によって当事者双方の年金記録が書き換えられ,年金額は,各々分割後の標準報酬額に基づいて計算されます。そのため,分割した側は,分割によって標準報酬額が減額するため,それに基づいて計算された年金額が減額することになります。他方,分割を受けた側は,標準報酬額が増額するため,それに基づいて計算された年金額が増額することになります。

「5」 離婚時年金分割はどのように請求をすればいいのですか?

離婚時年金分割には2種類の分割方法があります。

①合意分割
請求期限内に夫婦の合意又は裁判手続きで年金の按分割合を定めて,年金事務所に請求すれば,分割対象期間に対応する標準報酬額の多い方の厚生年金の保険料納付記録の最大2分の1までを少ない(又はなかった)方の当事者に分割する制度です。
両当事者の合意で按分割合が定まらなかった場合には,調停や審判で定めることができます。また,離婚調停や裁判に附随して年金分割の申立てをすることもできます。
合意分割の場合,調停等の裁判手続きで按分割合が決定したとしても,当然に分割されるのではなく,その調書等を年金事務所に持って行き,年金分割の手続をする必要があるので注意してください。

②3号分割
3号分割は,平成20年4月1日以降の婚姻期間中に第3号被保険者であった期間がある場合に,年金事務所等に年金分割の請求をすれば,その期間に対応する厚生年金に加入していた当事者の厚生年金の保険料納付記録の2分の1が,合意や裁判がなくとも第3号被保険者であった当事者に分割される制度です。
3号分割の場合,単独で年金事務所等に年金分割の請求手続きを行うことが出来ます。

「6」 離婚時年金分割はいつまで請求できますか?

原則,離婚成立時から2年以内です。この期限を過ぎると分割の請求が出来なくなるので注意してください。
しかし,離婚成立後2年以内に年金分割の調停又は審判を申し立てたが,手続中に離婚成立から2年が経過した場合(あるいは調停成立又は審判確定時点で2年以内の期限まで1か月を切った場合)には,調停成立又は審判確定後1か月以内に,年金事務所等への請求をすればよいことになっています。

「7」 事実婚が解消される場合にも年金分割制度を使えますか?

原則認められていません。しかし,一定の場合に限り,厚生労働省令等が特別の定めを設け,合意分割制度による年金分割を認めています。
被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者であった期間については,第3号被保険者としての資格が喪失し,かつ,その事実婚関係が解消した場合(婚姻届提出による事実婚の解消は除きます。)には合意分割の対象になることが認められています。

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財産分与(年金分割を含む)

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財産分与

「1」 離婚に伴う財産分与とはどういうものですか?

財産分与とは,夫婦が結婚期間中に協力して形成した財産を離婚に際して分与することをいいます。財産分与は,民法上,財産分与請求権として認められています(民法768条1項)。

「2」 離婚に伴う財産分与の対象になるのはどのような財産ですか?

婚姻期間中にその協力によって得た財産が財産分与の対象財産となります。夫又は妻が,結婚前から取得していた財産や結婚期間中に取得した財産であっても第三者から相続や贈与など第三者から無償取得した財産は各配偶者の個人財産(特有財産)であり財産分与の対象財産にはなりません。
結婚期間中に夫婦が協力して得た財産であれば,その名義が夫・妻いずれのものであっても財産分与の対象となります。

「3」 妻から財産分与の請求をされています。財産を分けなければいけないことは理解していますが,必ず半分を分けなくてはならないのでしょうか?

実務上,財産分与の割合は,特段の事情が無い限り2分の1ずつ分与するのが原則と考えられています。
しかし,夫婦の一方の特別の努力や能力によって高額の資産が形成された場合や,不動産等の高額な財産の取得の際に夫婦の一方が原資の一部として多額の特有財産を出したような場合には,特段の事情があるとして,その分与割合が2分の1以外になることがあります。

「4」 財産分与をする場合,いつの時点を基準にするのですか?

原則として,夫婦の経済的共同関係が消滅した時点,つまり,①離婚前に別居が先行していれば別居時に存在した財産,②別居をしていなければ離婚時に存在した財産,と実務上では考えられています。

「5」 夫とは結婚して約30年になります。結婚当初から夫の浮気癖が治らず,子どもも就職したので,夫との離婚を考えています。しかし,私は結婚で会社退職して以降専業主婦をしており,年齢的にも能力的にも再就職することは難しいと思います。
そこで,夫に対する財産分与請求に当たって,今後の生活費やこれまでの浮気の慰謝料を加味することができないでしょうか?

財産分与には,①清算的財産分与,②扶養的財産分与,③慰謝料的財産分与があるとされています。一般的な財産分与は①の清算的財産分与であり,夫婦の共有財産を2分の1にするというものです。
相談のように離婚後の生活費の要素を財産分与に盛り込んだ財産分与を②の扶養的財産分与と言います。実務上では,そもそも,①の清算的財産分与についても離婚後の一方当事者の生計の維持を図ることも目的に含まれているため,扶養的財産分与は,補充的なものと考えられています。清算的財産分与や慰謝料で生計を維持することができるだけの財産を取得できる場合には扶養的財産分与の必要性はないと考えられています。裁判所で主張をしても認められるケースはかなり少なく,極めて限られた場合です。
また,有責な行為によって離婚の原因を作出した配偶者に対して,損害賠償請求権の要素を加えた財産分与を③の慰謝料的財産分与と言います。しかし,実務上は,財産分与の請求とは別個に不法行為に基づく損害賠償請求をすることが多く,裁判所が財産分与の判断に当たって慰謝料的要素を考慮する事はほとんどありません。

「6」 夫の退職金は財産分与の対象になるのでしょうか?

原則,実務上では財産分与の対象になると考えられています。しかし,退職金が既に支払われているか否かでその取り扱いが異なってきます。
①既に退職金が支払われている場合
退職金がすでに支給されている場合,財産分与の対象になることは実務上も争いはありません。
②未だ退職金が支払われていない(将来の退職金)の場合
退職金が未だ支給されていない場合であっても,離婚時にその支給額が確定している場合には,財産分与の対象になることに争いがありません。
支給額も確定していない将来の退職金については,実務上,支給される蓋然性が高いことを条件に財産分与の対象財産になるとしています。支給される蓋然性が高いか否かは,退職金支給までの期間,勤務先の規模・種類(公務員か民間か等),勤務年数等によって総合的に判断されます。
なお,将来の退職金の金額は,離婚時に退職したと仮定をして計算することが実務上は多いです。

「7」 妻と離婚することになり,妻から財産分与を請求されました。分与できるような財産は,住宅ローンが20年残っているマンションしかありません。このマンションも財産分与の対象になるのですか?

財産分与は原則としてプラスの財産を分けるものと考えられており,離婚の際に債務を分担することは考えられていません。
マンションなどの不動産に住宅ローンが残っている場合に,それだけを理由に財産分与の対象にならないというわけではありません。
不動産の時価とローン残高を比較してどちらが多いかで,その取扱いが変わります。
①不動産の時価>ローン残高
この場合,不動産を売却した代金からローンを完済し,その残額を財産分与の対象にする,あるいは,当該不動産の時価(査定額)からローン残高を控除した金額をもとに分与額を算定し,その額を現金で支払うといった方法を取ることがあります。
②不動産の時価<ローン残高
いわゆる,債務超過の場合ですが,この場合は様々な方法が考えられます。
【例1】
マンションの所有名義人でありローンの名義人である夫が住宅ローンを支払い続け,妻及びその子が賃料等の負担なく,そのマンションに居住することを認める,という方法が考えられます。この場合,妻は,マンションの所有権を取得する事はできませんが,当該マンションに無償で居住する利益を得ることが出来ます。ただし,夫がローンの支払いを滞らせた場合には,マンションが競売に掛けられ,住めなくなる可能性があります。
【例2】
妻がマンションの所有権を取得する代わりに,妻が住宅ローンの新たな名義人となり,その後の支払義務を負担するという方法が考えられます。その際に,従来のローン名義人であった夫は,金融機関に債務を免責してもらうことになります。
この場合,妻が住宅ローンの名義人になれるかどうかは住宅ローンの債権者である金融機関次第であり,場合によっては新たな保証人を立てるように要求されることもあるでしょう。
【例3】
夫がマンションのローンを支払いつつ,妻がマンションに居住し,その所有権の移転を受けるという方法が考えられます。
この場合,妻は,夫がローンの支払を完了すれば,抵当権のついていないマンションを取得できることになります。しかし,この場合には,住宅ローンの債権者である金融機関に,夫から妻へマンションを譲渡することの承諾を得る必要があります。

「8」 財産分与請求をする方法・手続を教えて下さい。

離婚に伴う財産分与の請求は,離婚と同時に請求することが多いですが,離婚後の請求も可能です。
①離婚と同時に請求する場合
まずは,離婚自体に関する相手方との話合いにおいて財産分与の対象・割合・分与の方法等について話し合いをすることが考えられます。
話し合いがまとまらなかった場合,家庭裁判所に離婚調停を申立て,その附随的な申立として財産分与の請求をすることになります。離婚のみを早期に成立させたいとして離婚についてのみ調停を成立させる場合があります。この場合には,改めて財産分与についてのみの調停を申し立てることになります(以下の②の場合となります。)。
離婚・財産分与についての調停が不成立となった場合,家庭裁判所に対して離婚訴訟を提起し,その附帯処分として併せて財産分与の請求をすることになります。
②離婚成立後に請求する場合
まず,この場合に注意すべきことは,離婚(協議・調停・裁判・和解いずれも)から2年が経過すると,財産分与自体を請求することが出来なくなります(民法768条2項)。この2年間は除斥期間と呼ばれており,時効のように特定の事由が起こると時効の進行が止まり、また新たに「ゼロ」から時効期間の進行が始まる(時効の中断)ということがありません。
財産分与請求の方法としては,離婚した元配偶者との協議,財産分与調停・審判が考えられます。
調停での話合いがまとまらなかった場合,自動的に審判に移行し,裁判所が財産分与について判断を下します。調停を経ずに審判を申し立てることもできますが,実務上は,まずは調停を申し立て,話し合いによる解決を図ることが多いです。

「9」 私は,パートナーである男性と約20年ほど内縁(事実婚)関係を続けていましたが,この度,その関係を解消することになりました。私は,この男性に対して財産分与を請求することができるでしょうか?

内縁関係においても財産分与が認められる可能性があります。
内縁関係について最高裁判所は,「いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異るものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない。」として内縁関係についても一定の法的保護を与えています(最高裁判所昭和33年4月11日)。
そして,裁判例は,内縁関係解消時の財産分与について,「財産分与の本質は第一義的には離婚の際における夫婦共同生活中の財産関係の清算であり・・・,そうだとすれば、財産分与は、婚姻の解消を契機としてなされるものではあつても、現に存した夫婦共同生活関係を最終的に規整するものともいうべく、かつこれによつて直接第三者の権利に影響を及ぼすものではないから、内縁についても、これを認めるのが相当である」として内縁関係解消時の財産分与を認めています(広島高等裁判所昭和38年6月19日決定。その他,東京家庭裁判所昭和31年7月25日審判等)。
そのため,内縁関係継続中に両パートナーの協力のもとに形成された財産がある場合には,財産分与の請求が出来ます。

年金分割

「1」 離婚時年金分割制度とはどのような制度ですか?

離婚後,請求期限内に合意又は裁判手続きで按分割合を定めて年金事務所等に分割請求をすることで,婚姻期間中の年金保険料の納付記録の最大2分の1までを分割する制度です。

「2」 全種類の年金について年金分割ができるのですか?

年金分割ができるのは厚生年金(下図の青く塗られた2階部分)のみです。基礎年金(下図のオレンジ色に塗られた1階部分)や企業年金などの自主年金(下図の3階部分)は分割の対象ではありません。
そのため,年金分割は,1階部分の基礎年金の額や3階部分の厚生年金基金や確定給付企業年金の給付には影響がありません。

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(厚生労働省HP・「日本の公的年金は2階建て」
(https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/structure/structure03.html)より引用)

「3」 具体的には何が分割されるのでしょうか?

年金分割の対象になるのは,厚生年金の保険料納付記録です。年金額は,年金の受給権が発生するまでの期間の標準報酬額(標準報酬月額及び標準賞与額)を基礎として計算されます。分割の対象となる保険料納付記録とは,具体的には,これまでに支払ってきた厚生年金保険料の算定の基礎となった標準報酬額のことをいいます。
夫婦のうち,この標準報酬額の多い方の標準報酬額が最大2分の1まで分割され,標準報酬額が少ない又はない方が,分割された分を受け取ることになります。
年金分割の按分割合を2分の1と定めた場合には,婚姻期間における夫婦双方の標準報酬額は同額となります。

「4」 離婚時年金分割がされることで具体的に何が変わるのでしょうか?

離婚時年金分割によって当事者双方の年金記録が書き換えられ,年金額は,各々分割後の標準報酬額に基づいて計算されます。そのため,分割した側は,分割によって標準報酬額が減額するため,それに基づいて計算された年金額が減額することになります。他方,分割を受けた側は,標準報酬額が増額するため,それに基づいて計算された年金額が増額することになります。

「5」 離婚時年金分割はどのように請求をすればいいのですか?

離婚時年金分割には2種類の分割方法があります。

①合意分割
請求期限内に夫婦の合意又は裁判手続きで年金の按分割合を定めて,年金事務所に請求すれば,分割対象期間に対応する標準報酬額の多い方の厚生年金の保険料納付記録の最大2分の1までを少ない(又はなかった)方の当事者に分割する制度です。
両当事者の合意で按分割合が定まらなかった場合には,調停や審判で定めることができます。また,離婚調停や裁判に附随して年金分割の申立てをすることもできます。
合意分割の場合,調停等の裁判手続きで按分割合が決定したとしても,当然に分割されるのではなく,その調書等を年金事務所に持って行き,年金分割の手続をする必要があるので注意してください。

②3号分割
3号分割は,平成20年4月1日以降の婚姻期間中に第3号被保険者であった期間がある場合に,年金事務所等に年金分割の請求をすれば,その期間に対応する厚生年金に加入していた当事者の厚生年金の保険料納付記録の2分の1が,合意や裁判がなくとも第3号被保険者であった当事者に分割される制度です。
3号分割の場合,単独で年金事務所等に年金分割の請求手続きを行うことが出来ます。

「6」 離婚時年金分割はいつまで請求できますか?

原則,離婚成立時から2年以内です。この期限を過ぎると分割の請求が出来なくなるので注意してください。
しかし,離婚成立後2年以内に年金分割の調停又は審判を申し立てたが,手続中に離婚成立から2年が経過した場合(あるいは調停成立又は審判確定時点で2年以内の期限まで1か月を切った場合)には,調停成立又は審判確定後1か月以内に,年金事務所等への請求をすればよいことになっています。

「7」 事実婚が解消される場合にも年金分割制度を使えますか?

原則認められていません。しかし,一定の場合に限り,厚生労働省令等が特別の定めを設け,合意分割制度による年金分割を認めています。
被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者であった期間については,第3号被保険者としての資格が喪失し,かつ,その事実婚関係が解消した場合(婚姻届提出による事実婚の解消は除きます。)には合意分割の対象になることが認められています。

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養育費

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「1」 私には離婚した元夫のとの間に2人の子どもがいます。元夫に養育費を請求しようと思うのですが,どのような方法がありますか?

父母が離婚するときには,子の監護に関する費用の負担等を協議で定めるものとされています(民法766条1項)。この「子の監護に関する費用」のことを通常は「養育費」と呼びます。
父母の協議が調わない場合や協議が出来ない場合には,家庭裁判所へ調停又は審判を申し立てます。

「2」 相手方が任意に婚姻費用を支払わない場合に相手方に請求する方法・手続にはどのようなものがありますか?

養育費請求の調停,養育費請求の審判があります。
調停は,家庭裁判所において両当事者が養育費の額について協議し,合意によって決める手続です。調停の話合いで解決できなかった場合には,審判に移行し裁判所が養育費を決定することになります。

「3」 調停又は審判の申立てをすることのメリットは何ですか?

調停が成立した場合又は婚姻費用分担の審判がなされた場合,これらは確定判決と同一の効力を有することになります。そのため,相手方が任意に養育費を支払わなかった場合には,相手方の給料などの財産を差押えて取り立てることができます。

「4」 養育費はどのようにして算定されるのでしょうか?

父母双方の収入,資産,生活状況,子どもの人数・年齢等諸般の事情を総合的に考慮して協議で決めるのが原則です。基本的な考え方としては,子どもにかかる生活費を計算し,それを父母の収入で按分し,その按分された額を養育費として支払うことになります。
しかし,父母双方の主張に隔たりがあり協議が難しい場合には,客観的で合理的な算定基準を用いて算定します。
簡易な算定方法としては,東京家庭裁判所が作成している養育費・婚姻費用算定表を用いて算定することができます。下にある表の様に子どもの年齢・人数ごとに算定表が作成されており,該当する表を用いて簡易に算定するものです。
この表は実務でもよく利用されていますが,子どもの人数構成や収入の額が該当しない場合があるとともに,当事者の個々具体的な事情を斟酌できないというデメリットがあります。
そのような場合には養育費を算定する計算式をもって個々具体的に算定をすることがありますが,それに長ける弁護士でないと難しいと思われます。

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(東京家庭裁判所・「養育費・婚姻費用算定表」・4頁目
(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/)より引用)

※上記算定表は,平成18年4月26日最高裁決定以降,養育費・婚姻費用算定の実務において,永らく用いられてきました。
しかしながら,社会情勢の変化や家庭の現況の変化など,実態に沿った算定表とするべく,令和元年12月23日に改定された標準的算定表が公表されました。
改定の基礎となった変更は,以下の2点です。
① 総収入から一定割合を乗じて算出される基礎収入の割合(%)が,
   給与所得者の場合「42~34」→「54~38」
   自営業者の場合 「52~47」→「61~48」
   に変更されました(高額所得者の方が割合は小さいです)。
 ② 子の生活費指数が
   ~14歳 「55」→「62」
   15歳~ 「90」→「85」
 上記の表を改定した表が以下の表となります。

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(最高裁判所・「(表1)養育費・子1人表(子0~14歳)(PDF:515KB)」(https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file5/youiku-1.pdf)より引用)

「5」 養育費を請求する相手方の収入が不明の場合にはどうしたらいいのですか?

収入を認定する資料として,確定申告書や原徴収票,給与支給明細書等が考えられます。しかし,これらの資料が無く,相手方の収入の手がかりが無い場合には,賃金センサスを前提に相手方に一定程度の収入があると仮定して養育費を算定します。
※「賃金センサス」とは、厚生労働省が,毎年,事業所に対して,その属する地域、企業の規模別に、雇用形態や就業形態、職種や性別、年齢、学歴などの労働者の属性別に賃金の額を調査し,その平均値を出した統計資料のことをいいます。正式名称は「賃金構造基本統計調査」といいます。

「6」 養育費はいつまで支払えばよいのですか?

養育費の対象となる子の年齢は民法に規定されていませんが,一般的には「未成熟子」とされています。「未成熟子」とは,「身体的,精神的,経済的に成熟化の過程にあるため就労が期待できず,第三者による扶養を受ける必要がある子」とされており,これは「未成年者」とは異なります。そのため,中学卒業後,就職し自身で生計を立てているような未成年者は養育費の対象になりません。また,大学在学中であるような場合には,たとえ成年に達していたとしても養育費の対象になります。
実務では,「成年に達する月まで」,「大学を卒業する年の3月まで」などと決めることが多いです。
養育費の支払いの終期を成年になるまでか,大学を卒業するまでかは,父母の収入,学歴,職業などから総合的に考慮する必要があります。両親ともに大学を卒業しているような場合には,終期を「大学を卒業する年の3月まで」とすることも多いでしょう。

「7」 元夫とは養育費について何ら決めることなく,私が3人の子どもの親権者となって離婚しました。離婚当初は私の給料もそこそこあったのですが,不景気のあおりを受けてか収入が減り,生活が苦しくなりました。元夫に養育費を請求しようと思うのですが,私はいつの時点からの養育費を請求できるのでしょうか?

実務では,統一的な基準はなく,①養育費の請求をした時点からの養育費を請求できると判断した審判例(東京家審昭和54年11月18日等)と②未成熟子に扶養状態が生じており,かつ養育費を支払う者に経済的余裕がある場合には養育費の請求権が発生し,過去に遡って養育費の負担をさせることが公平に反しない限りは過去に遡って請求できると判断した審判例(宮崎家審平成4年9月1日等)などがあります。
そのため,①の説に立てば元妻が養育費を請求した時点からの養育費の請求となります。他方,②の説に立てば離婚時,元妻の収入が下がった時点等未成熟子の扶養状態が生じ,夫に経済的余裕がある時点にまで遡っての養育費の請求ができることになります。

「8」 離婚調停の際に,養育費を子どもが成年になる月まで毎月5万円を支払うという内容で調停が成立しました。
しかし,その後,転職し収入が下がったため,毎月5万円の養育費を支払いきれない状況です。養育費の減額の請求はできますか?

離婚時に養育費を定めていたとしても,その後の扶養義務者・扶養権利者の事情変更があれば,養育費の減額(増額)の請求ができます。
養育費を支払う側が失業,収入の長期的減収がある場合には養育費の減額の調停を申し立てることができます。具体的に,どの程度の事情の変更があった場合に養育費の減額を認めるかについては,実務においても統一的な基準はなく,具体的事情を踏まえて総合的に判断されることになります。

「9」 妻が再婚しましたが,引き続き養育費の請求をしてきます。これまでと同じように私は養育費を支払わないといけないのでしょうか?

再婚相手が子と養子縁組をしているかで結論が変わります。
養子縁組をしていた場合,再婚相手が親権者となるため,未成熟の養子に対する扶養義務は親権者である養親が第一義的に負うと考えられています。そのため,再婚相手の扶養義務が優先されるため実父は養育費の負担義務を負わないのが原則です。
他方,養子縁組をしていない場合には,再婚相手は,扶養義務を負わないため,たとえ元妻が再婚したとしても実父の養育費支払い義務は何の影響もなく,支払をしなければなりません。

「10」 離婚した妻が親権者となり,これまで養育費を支払ってきました。しかし,妻は何だかんだと理由をつけては子どもと会わせてくれません。対抗手段として養育費の支払を止めることはできますか?

できません。養育費の支払義務と面会交流は別のものであり連動しないことに争いはありません。そのため,元妻が子どもとの面会交流を実施しないことを理由として,子どもの養育費の支払を止めることはできません。調停や審判で養育費について決められていた場合には,不払いを理由に財産の差し押さえがなされる可能性がありますので注意してください。

「11」 離婚時に,子どもを引き取るために,親権者となる代わりに養育費は請求しないとの約束をしてしまいました。しかし,その後,私は失業してしまい生活費にも困っています。元夫に対して養育費を請求できないでしょうか?

養育費を請求できる可能性が高いと言えます。
親権者は子の法定代理人ですが,養育費の請求根拠である扶養請求権は子どものための権利であるため,たとえ法定代理人であったとしても勝手に放棄できないと考えられています。 そのため,養育費を請求しないという約束は無効である可能性が高く,改めて養育費の請求ができる可能性があると言えます。

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婚姻費用

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「1」 3か月ほど前に,夫が家を出て別居が開始しました。別居後,夫は,給与の振込口座を変えてしまったらしく,生活費が全く入らなくなってしまいました。私のパートの収入だけでは子どもを含めた生活費が足りません。私は,夫に対して生活費を支払うように言えるのでしょうか?

夫婦は,婚姻期間中たとえ別居をしていても,婚姻家庭がその資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を保持するために必要な生活費を分担するものとされています。この生活費のことを「婚姻費用(婚費)」といいます。
たとえ別居をしていても婚姻関係は続いているので,生活費を入れない夫に対して生活費を支払うように請求することができます。

「2」 相手方が任意に婚姻費用を支払わない場合に相手方に請求する方法・手続にはどのようなものがありますか?

婚姻費用分担の調停,婚姻費用分担の審判があります。
調停は,家庭裁判所において両当事者が各々負担する婚姻費用の額について協議し,合意によって決める手続です。調停の話合いで解決できなかった場合には,審判に移行し,裁判所が婚姻費用を決定することになります。

「3」 調停又は審判の申立てをすることのメリットは何ですか?

調停が成立した場合又は婚姻費用分担の審判がなされた場合,これらは確定判決と同一の効力を有することになります。そのため,相手方が任意に婚姻費用を支払わなかった場合には,相手方の給料などの財産を差押えなどして取り立てることができます。

「4」 家を出た夫から生活費の支払もなく,現在も貯金もほとんどありません。調停や審判の結果が出るまでの当面の生活費がなく困っています。何かいい方法はないでしょうか?

婚姻費用の分担を急ぐ場合には,①生活費の仮払いを求める調停前の仮の措置を調停委員会に求めたり,②審判前の保全処分の申立てをしたりすることが考えられます。

①の調停前の仮の措置は,家庭裁判所が調停のために必要と認めた時は,暫定的に生活費の支払を命じることになります。相手方がこの命令に従わず生活費を支払わなかったときは,10万円以下の過料の制裁が科せられる可能性があります。しかし,調停前の仮の措置では,支払をしない相手方の財産に対して差押えをすることができませんので必ずしも実効性が高いものではありません。

②の審判前の保全処分は,調停前の仮の措置と異なり,相手方の財産に対して差押えをすることができるので強力な手段といえます。ただし,この保全処分の申立てをするためには,婚姻費用分担の調停が不成立に終わり審判に移行した場合,又は最初から婚姻費用分担の審判を申し立てていることが必要となります。

「5」 婚姻費用はどのようにして算定されるのでしょうか?

夫婦双方の収入を基礎に算定が行われます。基本的な考え方としては,収入の多い方が,収入の少ない方へ生活費を支払うことになります。そのため,婚姻費用を請求した側の収入が,請求された側の収入を上回っていた場合には,婚姻費用の請求が出来ないことになります。

簡易な算定方法としては,東京家庭裁判所が作成している養育費・婚姻費用算定表を用いて算定することができます。下にある表の様に子どもの年齢・人数ごとに算定表が作成されており,該当する表を用いて簡易に算定するものです。

この表は実務でもよく利用されていますが,子どもの人数構成や収入の額が該当しない場合があるとともに,当事者の個々具体的な事情を斟酌できないというデメリットがあります。

そのような場合には婚姻費用を算定する計算式をもって個々具体的に算定をすることがありますが,それに長ける弁護士でないと難しいと思われます。
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(東京家庭裁判所・「養育費・婚姻費用算定表」・14頁目
(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/)より引用)

「6」 婚姻費用を請求する相手方の収入が不明の場合にはどうしたらいいのですか?

収入を認定する資料として,確定申告書や原徴収票,給与支給明細書等が考えられます。しかし,これらの資料が無く,相手方の収入の手がかりが無い場合には,賃金センサスを前提に相手方に一定程度の収入があると仮定して婚姻費用を算定します。

※「賃金センサス」とは、厚生労働省が,毎年,事業所に対して,その属する地域、企業の規模別に、雇用形態や就業形態、職種や性別、年齢、学歴などの労働者の属性別に賃金の額を調査し,その平均値を出した統計資料のことをいいます。正式名称は「賃金構造基本統計調査」といいます。

「7」 別居中の妻は,働くことができるのに働きません。このような場合にも,婚姻費用の算定に当たって,妻は無収入となるのでしょうか?

無職の場合,原則その収入は「0円」と算定します。しかし,十分働けるのに労働意欲がなくて働かない場合のように合理的な理由なく働かない場合には,賃金センサスをもとに収入を仮定して,婚姻費用を算定することがあります。

「8」 別居後,婚姻費用が支払われなくなって半年が経ちました。いつの時点まで遡って相手方に婚姻費用を請求できますか?

実務上は,調停又は審判を申し立てた時点まで遡って婚姻費用を請求することが多いです。

「9」 別居後,婚姻費用の支払を受けることなく,そのまま離婚をしました。離婚後に未払いの婚姻費用を請求することはできますか?

原則できません。
婚姻費用の請求をできる根拠は,夫婦間に相互の扶助義務があるからです。離婚が成立すれば,扶助義務もなくなるため,婚姻費用の請求もできなくなります。
ただし,離婚前に調停・審判の申立てをしたが,離婚成立までに調停の成立・審判の確定がしなかったといった場合には,その請求権は消滅しないとされています。
実務上では,未分担の過去の婚姻費用は,離婚後は,婚姻中の財産関係の清算として財産分与の方法によることが多いです。

「10」 子どもが私立学校に通っている場合に,その学費の分の婚姻費用の増額を主張できますか?

原則主張できません。婚姻費用には子どもにかかる学費等も含むものとして計算がされています。
しかし,相手方が子どもの私立学校の進学に同意しているような場合や,夫婦の資産,収入,学歴,職業等総合的に判断して,相手方に負担させることが相当な場合には,加算されることもあります。

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離婚の相談

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「1」 離婚の種類にはどのようなものがありますか?

離婚には,大きく分けて協議離婚,調停離婚,審判離婚,及び裁判離婚(判決・和解・認諾)の4種類があります。
実務上は,協議離婚が最も多く,調停離婚,和解離婚,判決離婚の順に続きます。

「2」 協議離婚とはどのようなものですか?

離婚届用紙に,双方当事者及び成人2人の証人が,署名・捺印して役場に届け出ることよって成立する離婚です。なお,未成年の子がいる場合には,その親権者を決め,記入をしなければ役所に離婚届を受理してもらうことはできません。
実務上,役所は離婚届の様式が整っていれば離婚届を受理し,離婚が成立します。そのため,夫婦喧嘩の勢いで離婚するつもりもないのに離婚届に記入をしてしまったり,他方配偶者に離婚届を勝手に記入され届出をされてしまった場合にも形式上,離婚は成立してしまいます。
このようなおそれがある場合には,本籍地の戸籍係に離婚届の不受理の申し出をすることで役所が離婚届を受理する事を防ぐことができます。
平成20年5月1日の法改正により現在は,不受理申出の取下げがあるまで期限の制限なく効力が生じることになりました。

「3」 協議離婚をする際に注意すべきことはありますか?

協議離婚は,双方に離婚の意思さえあれば簡便かつ速やかに離婚できますが,子どもの養育費や財産分与などの離婚に関連する問題については,自ら相手方と取り決めをしないといけません。財産分与等は,離婚後,請求できる期間が法律上決まっていますので,気が付いた時にはすでに請求できなかったというようなことも起こり得ますのでご注意ください。

「4」 調停離婚とはどのようなものですか?

家庭裁判所の家事調停手続きによる離婚です。家庭裁判所において,別席で個別的に調停委員が双方の事情を聴き取り,当事者双方が離婚について協議を行いきます。
その結果,離婚あるいは円満方向の合意に達した場合には調停成立となります。話し合いが合意に達しない場合には調停不成立となります。それでも,離婚を希望する場合には,離婚訴訟を提起することになります。

「5」 裁判離婚とはどのようなものですか?

第三者である家庭裁判所に離婚原因があるかを審理してもらい,離婚できるか否かを判断してもらう方法です。
離婚訴訟をするためには,原則,離婚調停を経ていなければなりません(調停前置主義)。離婚は当事者の身分関係を決めるものであるため,まずは当事者間での話し合いを行い,それでもまとまらない場合に離婚訴訟が認められています。
調停前置主義を満たすかどうかは実質的に離婚についての話合いが当事者間で行われたのか否かで決まります。そのため,たとえ離婚調停が取下げによって終了したとしても,実質的に話し合いがなされていれば調停前置の要件を満たしていると扱われることがあります。
また,相手方が生死不明,行方不明,心神喪失の状態にあるなど,話し合い自体が期待できない場合には,調停を経ずに直接離婚の訴えを提起できます。

「6」 裁判離婚に関連する問題としてどのようなものがありますか?

裁判離婚に関連する問題として以下のものが考えられます。
①子どもに関すること
・親権者の指定
・養育費の請求
・子どもの引渡し
②離婚と経済の関係
・財産分与
・配偶者に対する慰謝料請求
・年金分割
これらの問題は,離婚請求と共に,あるいは附帯処分として家庭裁判所に請求をすることができます。

「7」 離婚原因にはどのようなものがありますか?

協議離婚や調停離婚の場合には,当事者双方の合意があれば離婚できますが,裁判離婚の場合には,法律で定められた離婚原因が必要となります(民法770条)。
法律で定められた離婚原因は以下の通りです。
1号:配偶者に不貞な行為があったとき
2号:配偶者から悪意で遺棄されたとき
3号:配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
4号:配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき
5号:その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
裁判所は,上記の1号から5号までの離婚原因いずれかが認められないと,裁判離婚を認めません。そのため,実務上では,具体的事情についての1号から4号について主張するとともに,あわせて5号も主張することが多いです。また,5号は最も多く主張される離婚原因でもあります。

「8」 離婚原因の不貞行為(770条1項1号)とはどのようなものを言いますか?

不貞行為とは,配偶者がいる者が,配偶者以外の者と性的関係をもつことを言います。
一夜限りの性交渉や風俗店での性交渉も不貞の定義には該当しますが,この事情だけで離婚原因としての不貞行為があるとして離婚が認められる可能性は低いと思われます。しかし,これらの事情が原因となって婚姻関係が修復困難なほどに破綻したと認められる場合には,5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚が認められる可能性があります。

「9」 不貞行為をした配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は認められますか?

原則認められません。
しかし,判例上,①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び,②夫婦間に未成熟の子がおらず,③離婚を求められた配偶者が,その離婚により精神的,社会的,経済的に極めて苛酷な状態にならないことなどを総合的に考慮し,不貞行為をした配偶者からの離婚請求が認められる場合があるとされています(最高裁判所昭和62年9月2日民集41巻6号1423頁)。
①の別居期間は,単にその期間の長短だけで判断するのではなく,別居期間と両当事者の年齢と同居期間,別居後の事情の変化などを総合的に勘案して,有責配偶者からの離婚請求が信義誠実の原則に照らして許容されるかという視点で判断されています。近年,短くなってきている傾向にあります。
②の未成熟の子は,裁判例上は,おおよそ「高校を卒業するくらいの年齢」を上限としているようです。
③の離婚によって相手方配偶者が苛酷な状態に置かれるか否かは,夫婦双方の職業・収入,生活状況,有責配偶者が別居中の生活費を支払ってきたか,財産分与や慰謝料としてどの程度の金額を申し出ていたか,といった事情を総合的に考慮されます。
ただし,本判例は,上記3つの要素がある場合に総合的に考慮して有責配偶者からの離婚請求が認められる場合があることを示したものですので,これらの要素があれば必ず離婚が認められるといったものではありませんので注意が必要です。

「10」 悪意の遺棄(770条1項2号)とはどのようなものをいいますか?

夫婦には相互に扶助・協力する義務がありますが(民法752条),婚姻関係を破綻させるほどの程度の強い扶助・協力義務違反が離婚原因の悪意の遺棄に該当します。
半身不随の身体障害者で日常生活もままならない妻をおいて夫が家を出て,正当な理由もないのに長期間生活費を全く送金しなかったという事案で裁判所は,夫の行為は遺棄に当たるとして妻からの離婚請求を認めた裁判例があります(浦和地方裁判所昭和60年11月29日)。

「11」 4号の「配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき」とは具体的にどのようなときをいいますか?

法律は,「回復の見込みがない」ことを要求しているため,単に精神病に罹患したというだけでは離婚理由にはなりません。
夫婦として精神的な交流をすることができず,夫婦で助け合うことができない程度に強い精神病にかかっていることが必要です。
また,4号に該当しない場合であっても,病状によっては夫婦の協力義務を果たすことができないだけでなく,精神的交流までもが阻害されるような場合には,5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
ただし,その場合にも,判例は5号の該当性の判断に当たって,療養看護の具体的方途等,諸般の事情を併せ考慮した上で総合的に判断するとされています(最高裁判所昭和36年4月25日民集15巻4号891頁)。

「12」 5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは具体的にどのようなものがありますか?

例えば,性関係の不存在(セックスレス),性格の不一致,配偶者の浪費,配偶者の両親との不仲等が具体例として挙げられます。
単にこれらの事由があれば「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」として離婚原因が認められるというものではありません。具体的な事情を踏まえて判断する必要があります。

「13」 一度,浮気をしてしまい,妻にそのことが発覚しました。そのたった一度の浮気を理由として,妻から離婚を求められていますが,その一度の浮気が離婚原因になりますか?

不貞行為が離婚原因になると定められていますが(民法770条1項1号),たった一度の浮気のみでそれが離婚原因になり離婚が認められる可能性は少ないと考えられます。

「14」 リストラで会社を解雇されました。すると,収入の無い夫とは一緒に生活をすることはできないとして,妻が離婚を申し入れてきました。離婚しなければなりませんか?

夫婦は同居し,互いに協力し扶助する義務があります(民法752条)。妻に生活費を渡さず,そのため妻子の生活が困窮することになれば,夫の協力扶助義務違反ということになり,再就職に向けた努力もしないような場合には,「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして離婚が認められた裁判例もあります。

「15」 「生活の不一致」を理由として,妻が離婚を求めてきました。離婚に応じなければなりませんか?

「性格の不一致」により,婚姻関係が修復できないほど破綻して「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当するということになれば,離婚が認められることになりますが,個々の様々な事情を検討する必要があります。

「16」 「家事に専念するため仕事をやめて欲しい」と妻に頼むと,妻は離婚の話を切り出してきました。その頼みが離婚事由になりますか?

妻に対して仕事を辞めることを求めることが,離婚事由になるとは考え難いです。

「17」 妻が子を虐待しています。離婚することができますか?

子への虐待それ自体が,直ちに民法の定める離婚事由に該当するものではありませんが,虐待が原因で,夫婦関係が修復することのできないような状態に至れば,「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当し離婚することができます。

「18」 離婚届の不受理申出は,どのような場合にするのですか?

夫婦の一方が勝手に離婚届を提出する場合など,知らない間に離婚届が提出されることを防止するためなされます。

「19」 どのような場合に,離婚届が不受理とされるのですか?

前述した離婚届の不受理申出がなされている場合の他,離婚届の記載に不備があり,補正できない場合に不受理とされます。

「20」 離婚により氏を改めた夫又は妻は婚姻前の氏に復するとされていますが,婚姻のときに称していた氏を称することはできないのですか?

離婚によって婚姻前の氏に復した夫又は妻は,離婚の日から3か月以内に届出をすることによって,離婚の際に称していた氏を称することができます(民法767条2項)。

「21」 離婚によって婚姻前の氏に復する者は,必ず婚姻前の戸籍に入籍することになるのですか?

両親が既に亡くなっていて婚姻前の戸籍が除籍されている場合や,復氏をした者が新戸籍編製の申出をした場合には,新戸籍が作られます(戸籍法19条)。

「22」 離婚によって夫・妻・子の戸籍は,どのようになりますか?

婚姻によって妻が氏を改めたとします。
離婚した場合,妻は婚姻前の氏に復し(民法767条),婚姻前の戸籍に復籍するか?新戸籍が作られることになります。
他方,夫の戸籍は,夫について身分事項の欄に離婚の事実が記載され,妻について除籍されますが,子については父の戸籍に入ったままとなります。
そのため,母親が子の親権者となったとしても,それだけでは父親の戸籍に子が入ったままなので,母親の戸籍に子を入れるためには,別個,裁判所に対して,子の氏の変更許可の申立てをする必要があります。

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親権・監護権

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「1」 親権とは何ですか?

親権とは,親が(未成年の)子に対して、身分上・財産上保護監督し、養育に関する権利・義務のことをいいます。

「2」 親権者となれる人は誰ですか?

未成年の子の両親が婚姻している間には父母双方が,両親の一方が死亡した場合には,他方の生存親が単独の親権者となります。両親ともに死亡した場合には,未成年後見が開始されます。両親が離婚した場合には,そのどちらか一方を親権者として定めます。
また,未成年の子が養子になった場合には,その養親に親権が移り,養親が親権者となります。
ただし,未成年の子の単独親権者である親が婚姻し,婚姻相手がその未成年の子を養子にした場合には,養親と実親が共同親権者となります。

「3」 親権の具体的内容を教えてください。

親権の内容として未成年の子に対する身上監護権と財産管理権に分けて考えることができます。

「4」 親権の身上監護権とはどのようなことができるのですか?

子どもに対する①監護及び教育,②居所の指定,③懲戒,④職業の許可と考えられています。
①の監護とは,身体・精神の発達を監督して危険などから防衛保護する行為,教育とは身体・精神の完成をはかる行為と定義されることがありますが,一体不可分の概念とされています。
②の居所の指定とは,子に対する監護教育を全うするために,親権者は子どもの居所を指定できるとともに,その裏返しとして,子どもは親権者の指定した場所に居所を定めなければならない,という義務があります。
③の懲戒権は,子に非行があった場合に,更生教育のために身体・精神に苦痛をともなうような懲罰を与えることができるものです(民法822条)。ただし,懲戒権は子の教育のためであり,目的を逸脱したり,内容として過剰な場合には,懲戒権の濫用として親権喪失の理由になる可能性があります。
④未成年者が職業を営むためには,子の身体及び精神の発達状況や技術,能力,適性等を最も認識している親権者の許可が必要になります。営業を許可された未成年者は,営業行為について成年擬制され,成人と同じ行為能力をもつことができます。

「5」 親権の財産管理権とはどのようなことができるのですか?

子どもに対する①財産の管理,②財産に関する法律行為の代理,とされています。
①の「管理」には,財産の保全,財産の性質を変えない利用,財産の改良,財産管理目的の範囲内の処分等広く含まれます。
例えば,相続等で未成年者が建物を取得した場合に,その建物を修繕することは「財産の保全」に,収益のために賃貸することは「財産の性質を変えない利用」に当たります。また,未成年者の普通預金を定期預金にすることは「財産の改良」に,未成年者が所有している株式が値下がりのおそれがあるため,その株式を売却することは「財産管理目的の範囲内の処分」に当たるとされています。
例外的に,未成年者が親権者に許可された営業行為で得た財産(民法6条),親権者が未成年者自身による処分を許可した財産(民法5条),第三者が親権者に管理させない意思表示をして,無償で未成年者に与えた財産(民法830条),未成年者自身が労働契約に基づいて得た賃金(労働基準法59条),は親権者の管理対象財産にはなりません。
②は,未成年者の財産上の法律行為を指すとされています。具体例としては,未成年者名義の預金口座の開設,私立学校の在学契約などがあります。
財産管理権についても親権者が代理権を濫用した場合には,親権喪失や管理権喪失の理由になります。

「6」 監護者となれる人は誰ですか?

監護権者とは,親権のうち身上監護について,親権者とは別に定める必要がある場合に,身上監護権のみを担う人のことをいいます。
典型的なのは,婚姻中の父母が別居している場合に,どちらか一方の親が身上監護をする必要があるため,一方の親を監護者とすることがあります。
また,子の福祉の観点から監護者は指定されるため,子の祖父母など,親以外の第三者であっても身上監護に適している人物が監護権者に指定されることもあります。

「7」 未成年の子が共同親権に服している場合に,一方の親のみでなされた行為は有効ですか? 

親権は原則共同して行使される必要がありますが,父母の一方が親権を行使できない事情がある場合には,例外的に単独行使が認められています(民法818条3項但書き)。
問題になるのは,①共同親権者の他方に親権の共同行使ができない事情がないにもかかわらず,共同親権者の一方が単独で行った親権行使の場合と②共同親権者の一方が他方の親権者の了解を得ずに,共同名義で親権行使をした場合の2つが考えられます。
①の場合,一方の親権者が勝手に単独名義で子どもの法律行為を行うため,有効な法律行為とは言えず,判例は無効な行為と判断しています(最高裁昭和42年9月29日参照)。ただし,一般的には,無権代理行為として扱われ,他方の親権者が追認した場合には有効な法律行為となります。また,相手方が,単独で行為をした親権者に権限があると信ずべき正当な理由がある場合には,相手方が保護されることがあります。
②の場合,法律上,他方の親権者の意思に反していたとしても,取引の安全の保護から有効な法律行為として扱うとされています(民法825条本文)。ただし,相手方が,その法律行為が他方の親権者の了解がなく無断で行われたことを知っている場合には,その法律行為は有効にはならないとされています(民法825条但書き)。

「8」 親権者と子の利益が相反する場合には特別代理人を選任しなければならないとされていますが,どのような場合が利益相反に当たるのですか?

①親権者にとっては利益になるが,未成年者の子にとっては不利益になる行為,または,②同一の親権者の親権に服する何人かの未成年者のうち,一部の者に利益となり,他の者にとって不利益になる行為のことをいいます。
①の例は,父Aが亡くなり,その相続人が妻であるXと未成年の子どもY1のような場合です。Xは,自身の妻としての相続人の地位と未成年Y1の親権者としての2つの地位を持つことになります。この場合,Xが自身に有利な相続をすれば,それは相続人であるY1にとって不利な内容の相続となり,利益相反の状態になっています。
②の例は,母Bと離婚した父Aが死亡し,その相続人がAB間の未成年の子どもX・Y2名だけの場合です。X・Yの親権者であるAが,XあるいはYの一方の利益のために動けば,もう一方の相続人であるYにとって不利益になり,利益相反の状態になっています。
そのため,上記①②のような場合には,親権者に代わる特別代理人を選任しなければなりません。
そして,利益相反に当たるか否かの基準は,判例上,親権行使の対象行為自体を外形的客観的に考察し,行為の目的・動機や結果から判断すべきではないとされています(最高裁昭和42年4月18日参照)。例えば,親権者が未成年の子の養育費ために金銭を借り入れるに当たって,その子が所有する不動産に抵当権を設定する行為は,子のための行為ではありますが,外形的には,親権者と子の利益が対立するため利益相反行為に該当することになります。
利益相反があるにもかかわらず親権者が特別代理人を選任せずにした行為は,無権代理に行為になるとされています(最高裁昭和46年4月20日参照)。
この場合,子どもは成人になった時に追認することができます。また,法定代理人による適法な同意が無い行為として取り消すことも可能です。

「9」 調停・審判で親権者・監護者を指定する場合の基準を教えて下さい。

子の福祉の観点から総合的に事情を考慮して判断されます。考慮される事情の例は以下の通りです。
●親側の事情
・生活歴:学歴,職歴,婚姻・離婚歴,転居等家庭生活や社会生活の出来事
・就労状況:職業,勤務先,職務内容,勤務時間,通勤方法等
・経済状況:収入,支出,負債の有無等
・心身の状況:健康状態,病歴等
・家庭状況:住居の状況,同居家族の有無・状況等
・看護補助者の状況:監護補助の実績等
・監護方針:今後の監護方針,監護環境,親権者に指定されなかった親と子の面会交流についての意向等)
●子どもの側の事情
・生活歴
・過去の監護・養育状況
・心身の状況
・現在の生活状況(家庭での状況,学校等での状況,非監護親との交流の状況等)
・両親の紛争に対する認識の程度
・子の意思

「10」 親権者及び監護者の変更はどのような場合にできますか?

子の福祉のために必要があると認められる場合に,家庭裁判所は,子の親族の請求によって,親権者を他の一方の親に変更することができます(民法819条4項)。
親権者の指定の場合とは異なり,親権者の変更には義務の放棄が含まれるため,必ず家庭裁判所の調停又は審判によって行われなければいけません。
親権者・監護者の変更には,先になされた指定後の事情の変更が必要になります。変更に当たっては,親の監護体制,子に対する監護意思,子どもの年齢・心身の状況,子の置かれている環境の継続性,子自身の意思などを総合的に考慮して,子の福祉の観点から必要性の有無を判断します。
子が親権者・監護者から虐待を受けていることが明らかなような,子を保護すべき緊急の必要性がある場合には,親権者変更の申立てと同時に審判前の保全処分を求めることができます。
この保全処分をすることで,親権者・監護者の変更の結果が出る前に,緊急措置として,子の引渡しを求めることができます。

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子の引渡し

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「1」 子の引渡しの問題はどのような場合に問題となるのですか?

離婚後だけでなく,離婚前であっても別居中の親が子どもと一緒に暮らしている親に対して子どもの引渡しを求めることもあります。場合によっては,離婚後に親権者に対しても子の引渡しの問題が生じることもあります。

「2」 離婚をして,親権を取らなければ子の引渡し請求ができませんか?

離婚前も引渡し請求を行うことは可能です。
夫婦双方ともにまだ親権者であり,共同で行使するものとされていますが,別居中の夫婦の一方が一方的に子どもを連れて帰ってしまったような場合には,連れて行った相手に対して子の引渡しを請求することができます。
この場合,引渡しを請求するには(子の監護権者指定の審判申立てと同時にする)子の引渡しの審判申立てや人身保護法による人身保護請求などの方法が考えられます。

「3」 親権者ですが,監護権者は離婚した元配偶者です。子の引渡し請求はできますか?

監護権がない親権者であっても子の引渡し請求はできます。
ただし,親権者といえども監護権を有しない以上,子の監護については非親権者と同じ立場になるので,監護権者変更の審判の申立てと同時に子の引渡し請求の申立てをします。
なお,監護権者変更の申立てのみがあった場合でも,家庭裁判所は職権で子の引渡し命令を発することができますが,必ず職権行使がなされるとは限らないので,当事者は別個独立に申立てをすべきです。

「4」 子の引渡しを求める手続にはどのようなものがありますか?

法律上は,①家事審判手続,②人身保護手続,③一般民事手続の3つがあります。

「5」 家事審判手続とは何ですか?

家庭裁判所で子の引渡しを求める申立てを行う方法(調停,審判)です。
さらに,子の引渡しを求める審判前の保全処分を併せて行い,迅速な審理を求めることができます。

「6」 審判前の保全処分とは何ですか?

調停や審判の結論が出るまで待っていては,子に取り返しのつかない危害が加えられる可能性があるなど,緊急性が高い場合の手続として,審判の結論が出るまでの間に,子の引渡しを仮に命じてもらう制度です。

「7」 人身保護手続とは何ですか?

不当に身体の自由を拘束されているときに,地方裁判所に対して人身保護請求の裁判を提起して身体拘束からの自由を請求できる制度です。
請求をしてから1週間以内に裁判を開き,審理の終結日から5日以内に判決言渡しをしなければならないと法律で規定されており,迅速に判断がなされるため夫婦間の子供の奪い合いのケースでも,昭和55年に当時の家事審判法(現家事事件手続法)が改正されるまではよく用いられていました。拘束者の出頭を義務付けたり,人身保護命令に従わない拘束者に対して勾留や過料に処し,被拘束者を移動させたり,隠したりして,その救済を妨害した場合には,2年以下の懲役又は5万円以下の罰金といった刑罰による強力な強制力があります。
しかし,家事審判法の改正により,家事審判による子の引渡しの保全処分の審理が迅速化したこと,そもそも,人身保護請求手続きは,不当に奪われている人身の自由を司法裁判により迅速かつ容易に回復することを目的にした制度であり,子の引渡しを第一の目的にした制度ではないため「子の福祉」という観点からの調査が乏しいこと,子を引渡す執行の方法も拘束者に対する刑罰しかなく直接子どもを連れていくことは出来ず,その運用例もほとんどないため,現在は最後の手段として位置付けられています。

「8」 人身保護手続が認められる場合は何ですか?

人身保護手続きによる子の引渡しが認められる要件は,①子が拘束されていること,②その拘束が違法であること,③救済目的達成のために,他に適切な方法がないこと,です。
具体例としては以下のとおりです。
・子の引渡し請求を命ずる保全処分に従わない場合
・拘束者の子に対する処遇が親権行為という観点からみても容認できない場合
・子の連れ去りなど,拘束の違法性が高い場合
などです。

「9」 一般民事手続とは何ですか?

親権または監護権を根拠として,地方裁判所に子の引渡しを求める訴えを提起する方法です。
家事審判手続,人身保護手続と比べて時間がかかり,手続きは通常の民事裁判と同様のため子の意見や子の福祉などの観点を十分に盛り込んだ審理ができないという問題点があります。

「10」 一般民事手続を行うのはどのようなときですか?

監護者となる余地のないような第三者が,子の監護紛争とは無関係に子どもを拉致誘拐したような場合です。

「11」 家事審判による子の引渡しが認められる判断基準は?

どちらの親に監護させることがより子の福祉に適するか、という観点から判断がなされます。家庭裁判所が考慮している具体的な基準として以下のものがあげられます。

①父母側の事情
・監護能力(年齢、健康状態、異常な性格でないことなど)
・精神的、経済的家庭環境(資産、収入、職業、住居、生活態度)
・居住環境
・教育環境
・子供に対する愛情の度合い
・従来の監護状況
・親族の援助
などです。

②子の側の事情
・年齢
・性別
・心身の発育状況
・兄弟姉妹との関係
・従来の環境への適応状況
・環境の変化への適応性
・子自身の意向(15歳以上であれば子どもの意見を聞く必要があります)
などです。

③監護の継続性
監護者や居住環境が何度も変わることは子どもの精神的な負担になるため,(別居中などの場合)一方当事者の下で一定期間以上平穏に暮らしているとき、現状が尊重されることになります。

④母性優先の原則
乳幼児の場合、母親の存在が情緒的成熟のため不可欠であることが精神医学や発達心理学の立場から指摘されています。ただし、この場合の母親とは生物的な母親を指すのではなく,母性的な役割が優先するという意味で、たとえ男親であっても、母親代理の機能を発揮している場合や、祖母などの母親代理としての監護補助者がいる場合には、これも母性の存在として考慮要素となります。

⑤兄弟姉妹の不分離
子どもにとって,兄弟姉妹と生活を共にすることによって得る経験は人格形成上重要な価値があるとされ,兄弟姉妹は原則として同一の親の下で監護されるべきと考えられています。

「12」 家事事件手続法による子の引渡しの審判が出たにもかかわらず相手が引渡しを拒んだ場合はどうするのですか?

審判後の手続には,
①履行勧告(裁判所から相手に書面を送ったり、裁判所に呼び出して履行をするように勧告する),
②間接強制(一定期間内に引渡しをしない場合金銭の支払いを命じる),
③直接強制(執行官が強制的に子を連れ出す),
があります。
③の直接強制は、子どもに意思能力があり、子ども自身が拒絶をしている場合には、子どもの福祉の観点から子どもの意向を尊重し直接の引渡しができないということもあります。
また,相手方や他の同居人が子どもを抱えて引き渡さない場合や執行場所以外の場所に子を連れて逃げた場合など,執行不能となってしまう場合もあります。

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