第4話 「預金は私、借金はあなたに?!」

相談者:加藤さん 怒れるサラリーマン
解答
者:森弁護士 フレッシュな若獅子弁護士


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加藤私は離婚した妻から、財産分与として、預貯金の半分をくれと言われています。しかし,ローンの返済だって残っているし,そういうことも考慮して財産分与をしてもらえないかと思って相談した次第です。


弁護士:財産分与の算定方法についてご相談ですね。
まず確認させていただきたいのですが,離婚に際して,慰謝料や扶養等はどうすると言ったお話はありましたか?

加藤
:いえいえ,そんな話はありませんね。お互いに離婚については納得していますし,子供もいません。共働きなので扶養とかそういうのもないです。とにかく結婚中にできた財産をどうわけるか、という話しをしているのです。


森弁護士
財産の清算ということですね。それでは、結婚中に夫婦で協力して作られた財産の内容について教えてください。

加藤
:はい。今ある財産は,ローン付の家と1,500万円の預貯金があり、どちらも私名義のものです。ただこの家がね、今売ったら1,500万円になるそうなのですが、住宅ローンの支払いが2,000万円残っているのです。
だから家を売ってローンの返済をしても、私には500万円の借金が残るのです。こういうのをオーバーローンって言うのでしょ?ひどい話ですよ。
ぁそれよりひどいのがうちの元妻でね。ローン付の家はいらないから,預貯金を半分よこせって言ってきているのです。どうにかなりませんか?

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森弁護士:住宅ローンが残っているがなお預貯金によってプラスの財産が残る場合の財産分与ですね。

家は売るつもりならば、これから先、どちらかが家に住むつもりもありませんね?

加藤
:はい。

森弁護士
:わかりました。財産分与の基準ですが、基本的には財産は半分ずつ分け合うということです。
まず、奥様の言い分を整理します。

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加藤:そうなのです。でもね、妻に預貯金を持っていかれると、私には750万円しか残らず、しかもそのうち500万円は借金でなくなると考えると、手元には250万円しか残らないのです。

 それに対して、妻は私の貯金まるまる750万円を持っていくのです。
 家のローンは私たち2人の結婚生活のために購入したのです。
「お別れするから私は残りの借金分は払わないわよ」なんて、どう考えても不公平でしょう?!
 財産分与をするにしても、妻にも住宅ローンの分を負担させることはできないでしょうか?


森弁護士
:結論から言うと、住宅ローンの残りである借金について、元奥様に負担して頂くことはできます。

加藤さんのように、①不動産がオーバーローンの状態で、②預貯金等のプラスの財産がある場合、プラスの財産の総額から,マイナスの財産である住宅ローンの残額を引きます。そうしてプラスの財産がある場合には、その財産を分与するということになります。結婚生活で協力してできた財産は、プラスもマイナスも、協力した分ずつ清算するのが当事者間で公平だろうと考えるわけです。

 加藤さんの場合には,こういうことです。

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加藤:おうおう,そりゃいいですね!元妻と500万円ずつ分与しあうことになるわけですね。
 え
?ちょっと待てよ。半分ずつってことは、もしかして私が離婚するまでに支払ってきたローンの半分妻に請求できるのではないですか?

森弁護士
:基本的には、請求できないと思われます。オーバーローンの場合、住宅の価値はゼロと評価されます。ですから、ローンの返済結果は、プラスの財産として残っていないと判断され、財産分与の対象にはならないのです。

加藤
:そうなのですね。とにかく、私は妻の思う通りにさせたくありません。こっちがより有利になるようお願いしますよ。

森弁護士
:もちろん私たちは、依頼者である加藤さんの正当な利益を最優先に考えて、あらゆる方策を考えてまいります。
 も
っとも、加藤さんご自身も、まずは奥様との協議にむけて感情をおさめ、一度冷静になって、奥様とどのように話し合うべきか考えてみてください。
 財産分与は、ご夫婦が協力し合って、これまで築き上げた財産を分け合う制度です。まずはその財産を築いてこられたご夫婦それぞれが、冷静に、どうしたいのかすべて吐き出すべきです。

加藤
:そうですね。感情的になりすぎていたかもしれません。森先生、打ち合わせよろしくお願いします。

森弁護士:よろしくお願いいたします。


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