中小企業に関する分野

債権回収

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「1」 債権回収の心構えについて教えてください。

常に債務者の資力の状況にアンテナをはることが肝要です。
以下,容易に取得できる情報について説明します。取引の相手が法人の場合には,本店の所在地の土地建物の登記簿謄本を取得することで,法人が所有する財産か否かがわかりますし,他方,賃借物件の場合には差し入れた敷金や保証金が回収の対象となることがあります。
他方,会社の商業登記簿謄本を取ることで,代表者の住所がわかることがありますから,それをもとに不動産登記簿謄本を取って代表者の所有であることが確認できれば,代表者が連帯保証に入っている場合には代表者の不動産が回収の対象となることもあります。

「2」 法律の改正で判決などを取得すると財産の調査が容易になったと聞きましたが?

これに関連する法律は,令和2年4月1日から施行された改正民事執行法のことです。
銀行、信用金庫、信用協同組合、農業協同組合など、ほぼすべての金融機関に対し、裁判所が預貯金口座に関する情報の開示を命じることができるようなりました。 預貯金債権の存否、預貯金が存在する場合には、その取扱店舗、預貯金債権の種別、口座番号及び調査基準日時点での残高全額について開示を求めることができ,全店照会が可能となっています(この点,従前の弁護士法23条の2に基づく照会とは大きく異なります。)。ただし,生命保険や損害保険の解約返戻金についてはその対象となっていません。 判決は当然ですが,仮執行宣言付判決、支払督促及び公正証書等を含め,全ての種類の債務名義で申立をすることができます。 但し,先行して債務者に対する財産開示手続きを行う必要はありませんが,債務者に債務名義が送達されていることなどの執行開始要件を備えていること,及び強制執行の不奏功等が要件として必要です。
次に,裁判所が登記所に対して債務者の不動産に関する情報の提供を命じ,債務者方が所有する土地,建物を差し押さえるために必要な情報を取得することができるようにもなりました。この場合の情報取得は,強制執行の不奏功の他,債務者の財産開示手続の履践が要件とされています。
最後に,財産開示手続きについてご説明します。財産開示手続きとは,債務者が裁判所に出頭し、その財産状況を陳述することにより、債務者に自ら財産の所在を開示させる制度を言います。従前は,財産開示制度において,債務者の不出頭や虚偽陳述に対して過料という行政罰しか存在せず,その実効性について疑問視する声が多くありました。そこで,法の改正により,①出頭拒否,②宣誓拒否,③陳述拒否,④虚偽陳述の場合には、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることになりました。報道などではこれにより書類送検される者が出たというのは近時の報道されている通りです。

「3」 自社が商品を売った売掛債権についてはその商品自体に対して強制競売をすることができると聞きましたが?

動産売買先取特権に基づくものです。自己が売却した商品そのものについて,裁判所に対して,動産競売開始の許可の申立てして,その許可を得ることで,執行官は強制的に債務者の住所等に強制的に立ち入り,目的物を捜索することができます。そして,その許可謄本が債務者に送達されることで動産競売開始手続が開始することになります。
これに関連して特に重要なことは,競売の対象である売買の対象たる動産が特定をしていることです。売買契約書は当然のこと,注文書,請書,請求書などが資料となって,また,商品の品名・品番・数量・サイズ・色・形状などで対象となる動産たる商品を特定できるよう事前の工夫が大切となっていきます。

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定型約款

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「1」 約款という言葉をよく聞きますが,一般的な契約と何が異なるのですか?

契約による拘束力が生じるには当事者が契約の内容を認識している必要があります。
しかし,例えば,住宅ローン契約,保険契約,預金契約,運送契約などをする際に,細かい文字が大量に記載されている書面,所謂,約款と言われるものともって取引がされることがあります。
この約款,法律用語的には定型約款と言われるものは,通常,その相手方がその内容がよく理解していない,そもそも全く認識していないという状態で契約が成立させることができうる,それが,ここでの約款の最大の特徴です。

「2」 細かく大量の文字が記載されている約款を契約の内容とすることができる条件は?

①定型約款を契約の内容とする旨の合意(黙示の合意であって)をした場合
あるいは
②定款約款の準備者が事前にその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していること,が必要とされています。

「3」 適法に成立した定型約款にかかわる契約については錯誤があったと主張することはできるのですか?

約款に記載されている事項については契約が成立するものと見做されますのでできません。ただ,定款に記載された内容を前提とした個別の合意,これを定型取引合意と言いますが,この部分については錯誤の主張ができる場合はあります。

「4」 「定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示した」と言えるには自社のHPで公表していることだけで足りるのでしょうか?

足りないと考えるべきでしょう。その他,ネット上で契約締結をする前の間の同一画面において当該定款を認識可能な状況に置くなどの工夫を要します。

「5」 定型約款を変更するには個々の相手方との変更合意をしなければならないでしょうか?

個別の同意までとる必要はありません。定款を変更するにあたっては,その実体的要件と手続き要件があります。
実体的要件については,
①相手方の一般の利益に適合する(料金を値下げする等)ものであるか否か,
あるいは
②「契約をした目的に反せず,かつ...変更に関わる事情に照らして合理的な(経済事情の変動などの変更の必要性,適切な値上げ幅など変更後の内容の相当性,変更を望まない者には解除の機会を与えるなどの変更に関わる事情などを総合的に判断)ものである。」(料金の値上げする場合等)か,
いずれかの要件を満たす必要があります。

手続き要件については,
③定款変更の効力発生時期を定めること
を要し,その上で,
④定型約款を変更する旨,
⑤変更後の定型約款の内容,
⑥前記の「③」を適切な方法(現在においてはHPでの周知が主流でしょう。)で周知することを要するとされています。
なお,②の変更の場合には,効力の発生時までに④~⑥の事項について周知を完了していることが求められます。

「6」 上記を前提とされる法律の施行日はいつからですか。

改正民法548条の2以降の条文となりますが,2020年4月1日以降となります。ただし,施行される前に締結されたものについても,同法の法律が適用されるとされています。

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契約書の作成・点検

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「1」 契約書を作成する意義はなんですか?

日本では,連帯保証契約等の一部の契約を除き,契約書の作成は法律上要求されておらず,口約束であっても契約は成立します。
しかし,口約束では契約当事者が合意した内容が不明確となり,後日の紛争の原因となることもあります。
取引先とトラブルが発生した際,あらかじめ契約書を作成しておけば契約書をもとに円満な解決を図ることも期待できます。仮に,契約上のトラブルが訴訟等の紛争に発展してしまった場合にも,契約書は重要な証拠になり,あなたの主張を裏付ける根拠にもなります。
また,契約書の作成段階で,自分側の意見を反映させることが出来れば,契約上有利な地位に立つこともできます。
このように契約書の作成は,契約内容の明確化だけでなく,取引におけるトラブル発生時の解決の指針になるとともに,その作成の仕方によっては,今後の取引やそれに附随する交渉の主導権をとることもできます。

「2」 昨今,インターネット等で様々な種類の契約書のひな型が無料で公開されていますが,このようなひな型をそのまま使うことはだめなのでしょうか?

インターネット等で公開されている契約書のひな型を利用したからといって,契約が無効になるものではありません。
しかし,インターネット等で公開されているひな型は,その作成者が不明なことも多く,必ずしも法律の専門家が作成したものとは限りません。
インターネット等で公開されている書式は,契約書を作成する際の参考程度にはなるでしょうが,それをそのまま利用するのは避けた方がいいでしょう。

「3」 契約書の点検をするに当たって注意すべきことは何ですか?

①掲載されている契約書の内容で取引の目的を達成できるか。
契約書の内容は,取引の目的が達成できる内容になっていなければ意味がありません。当事者で合意した内容を読み取れる契約書の内容であるか確認する必要があります。
例えば,従来から付き合いのある取引相手と「○○」を目的物とする売買契約を締結しようとした際,相手から「××」を目的物とする売買契約書を渡されたとします。いつもの担当者からは「契約書には「××」って書いてあるけど,本当は「○○」っていう意味だから安心して。社長にもそう報告していて心配ないから。」などと言われたとします。
取引がトラブルなく続けば問題ありませんが,何かトラブルが発生し,裁判等になった場合に,あなたが「契約書には売買契約の目的物は「××」と記載しているが,実際は,「○○」であった。」という主張をしたとしても,これが認められることは非常に難しいのが現実です。
少し極端な例ですが,契約書は,トラブルが発生した際の有力な証拠になりますが,その反面,記載されている内容についての合意があったと推認されてしまうため,契約書の記載内容が,当初の取引の目的を達成できるものであるかを点検する事は重要です。

②不公平な内容になっていないか。
相手から提示された契約書の内容が,あなたにとって一方的に不利な内容になっていないか点検をすることは重要です。契約書の内容によっては,いざトラブルが発生した場合に,その責任を一方的に負わなければならないこともあります。
また,「紛争が発生した場合にその裁判地を相手方の本社のある場所の裁判所にしなければならない。」,などいざトラブルが発生するとあなたにとって負担を強いるような条項があるかもしれません。

③違法な内容・無効な条項が入っていないか。
契約書が最新の法改正にアップデートされておらず,従前は適法な内容が,いざ契約書作成の時点では違法になっていることもあります。
また,契約の両当事者がいくら内容に納得し,合意していたとしても,法律上許されない内容もあります。このような契約は,いくら契約書を交わしたとしても,後日,無効だと主張されてしまう可能性があります。

「4」 弁護士に契約書を作成・点検してもらうメリットは何ですか?

弁護士に契約書を作成・点検してもらうメリットとして,大まかに以下の4点があげられます。

①法律リスクのカバー
契約書の作成・点検にあたり,必要なのは法律の知識及び法律的思考です。
先程も説明したように従前は適法だった内容が,法律の改正により違法になってしまっている場合や,契約書の形式が法律上定められている場合もあります。これらのことを一般の方が全て把握するためには膨大な時間がかかってしまいます。
弁護士は法律の専門家であり,法律の改正や判例をフォローし,仕事をしています。
そのため,弁護士に契約書の作成・点検を依頼することで,法律の知識・思考を補うことができます。

②オーダーメイドの契約書の作成が可能
インターネット等に多くの契約書のひな型が公開されていますが,あなたがこれから考えている取引と全く同じ取引内容を想定したひな型はありません。類似したものはあるでしょうが,当事者が異なれば取引の目的や重要となる条項は当然に異なります。
ひな型を参考に,取引の目的に沿った契約書を作成することが出来ればいいですが,①で説明したように契約書の作成には法律知識とその思考が必要であり,非常に困難な場合もあるでしょう。
弁護士に契約書の作成を依頼すれば,依頼者の意図を汲んだ契約書の作成が可能となります(※依頼者の意図を全て汲むことができるというわけではありません。当然ですが,違法・無効な内容を組み込んだ契約書の作成はお受けできません。)。

③トラブルを未然に防げる可能性が高まる
弁護士が契約書の作成・点検に携わることで,契約書の内容をよく理解せずに契約締結してしまった,条項や文章の言い回しの不備によってトラブルが発生した,といったトラブルを未然に防げる可能性が高まります。

④紛争発生時のフォロー
弁護士が契約書の作成・点検に携わったとしても全てのトラブルを予想した完璧な契約書は存在しません。十分に検討された契約書を作成したとしても,当事者間で何かしらのトラブルが発生してしまう可能性はあるでしょう。
契約書の作成・点検に携わった弁護士であれば,問題の把握が円滑に進み事件処理も効率的に進められる可能性が高いでしょう。
※なお,契約書の作成・点検をした弁護士が当然にその紛争発生時の代理人になるものではありません。また,契約書の作成・点検を弁護士に依頼した依頼者も,当然にその弁護士を紛争の代理人に選ばなければならないものではありません。

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